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狂戦士の誤算Ⅱ その後の話

31



「本当二人して浮かれちゃって! 何回目の新婚旅行ですかぁ?」
 いつまでもラブラブな事は良いことだけど、そろそろ落ち着いてもいいんじゃない?
 呆れたような口調だが、目は笑っている。
 本当になんてませた女の子だろうか!
「こほん。……大人を揶揄うもんじゃないよ?」
「えぇ? 何年新婚気分なのか聞きたくなるぐらいにラブラブなところを延々と見せられ続けたら仕方ないでしょう? これはもう、揶揄ってもらうのを待っている! としか思えないし」
「胡桃は人に揶揄われる趣味があるのかい?」
「無いよ?」
「…………」
 そんな趣味があるわけないでしょ? と即答する友人に、ウェンティはついつい半目になってしまう。
 あり得ないと言いたげなくせに、そうに違いないと決めつけられるのは納得がいかない。
(たしかにボクとモラクスは魔神だけれど、どちらにせよ『人』に『揶揄われたい』なんてそんな趣味はないから!)
「ボクにも無いよ。勿論、鍾離先生にも」
「えー? 本当にぃ?」
 疑いの目と、口角のあがった口元。
 にやにやと表現するのがぴったりな表情を浮かべている胡桃に、『本当だ』と口を開く。
 だが、揶揄われる趣味は無くとも、他人からすると『家に帰ってからにしてください』と乞われる程度には仲睦まじかったような気がしなくもない。
 開いた口を閉ざし、疑惑の否定ではなく、謝罪の言葉を口にするウェンティ。
 胡桃からは盛大に笑われてしまった。
「鍾離さんがメロメロになるのも頷けるねぇ!」
「非を認めて謝っただけでしょ? どうしてそうなるのさ」
「おやおや? もしかいなくても、自覚無し??」
「だから何が」
「出会った頃のウェンティさんは鍾離さんと同じく浮世離れしている風だったんだけど」
「『だけど』?」
「今のウェンティさんは、隙だらけ!」
 すっごく可愛いんだから!
 なんて言いながら頬を突いてくる少女に圧される元風神。
 ウェンティは喋り辛いながらも『やめてよ』とその手を制した。
「おっと! いけない!! こんなところを鍾離さんに見られたら大変だ!!」
 嫉妬大魔神が降臨するとワザとらしく両手を挙げて距離を取る胡桃には突っ込む気力も起きない。



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2025-10-06 公開



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