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いつもはお互い別々に済ませていた昼食だが、モラクスが現れてからは三人で食卓を囲むのが常だった。
ウェンティはその理由をなんだかんだと言いながら鍾離もモラクスを気に掛けているのだろうと思っていたわけだが、違うかもしれないなと黙って食事をとる鍾離を盗み見た。
(きっとボクとこの子を二人きりにしたくないから、だよねぇ)
勿論それはウェンティを信頼していないわけではなく、幼子を――過去の自分を信頼していないから。
自分と同一の存在であるというのならば、必ずウェンティを好きになると言い切った鍾離の言葉を思い出し、ついつい頬が緩んでしまう。本当、愛され過ぎていて参っちゃうよ。と。
「何を笑っている?」
「こうやって一緒にお昼ご飯を食べれるって、なんだか嬉しいなぁって思ってね」
「随分愛らしいことを言うんだな」
見ている事はバレていると思っていたが、やっぱり気付かれていた。
微笑みの理由を告げれば、優しい笑い顔が返されきゅんとしてしまうウェンティ。
照れ笑いを返し、できれば今後もこうやって食事が出来ればなと想いを馳せていれば、逆隣からの視線が痛くなる。
幼子の存在を忘れていたわけではないが、どうにも鍾離に意識が向いてしまうのは仕方ないと許してもらいたい。
(この子がこの世界に来てからもうすぐ二週間が経つし、そろそろボクも限界なんだよなぁ……)
気付いた視線に話題を振れば、つんけんしながらも受け答えを返す素直な幼子。時折鍾離も話題に交じって、暖かな団欒の風景を幸せだと感じる想いに嘘はない。
だが精神的な幸せは日々感じていても、肉体的なそれはご無沙汰だから、困るのだ。
(モラクスがイライラしてる理由も、きっとそこが大きいよね?)
幼子がこの世界に現れた前夜に身体を重ねて以降、恋人としての営みからは遠ざかっていた。鍾離からは度々求められてきたのだが、ウェンティがそれを拒み続けているのだ。
理由は勿論、この幼子に知られたくないから。
一度眠りにつけば朝まで目覚めないから大丈夫だと言われようとも、もし起きて見られたら? と思うとどうしても恋人の求めに応じる気になれなかったのだ。
しかし、その状況が二週間も続けば、恋人に毎夜愛されてきた体躯は切なさを日々募らせてしまう。
抱き合って眠っているのに彼の『愛』を享受できないことが苦しくて、最近では彼の求めに応じてしまってもいいのでは? と理性がぐらついている。
(うぅ……ダメだダメだ! いくらモラクスがああ言っても、それは安心できる寝床だからであって、この子にとって今のこの状況で朝まで熟睡なんて出来るわけ無いんだから!)
だから我慢しろ! と自分を叱咤するウェンティ。
そんな彼を、彼の恋人は苦笑交じりに見つめていた。
(まったく。愛らしいにも程がある。……嗚呼、ほら見ろ。餓鬼の癖にその目には欲を孕んでしまっているじゃないか)
自分の恋人が愛らしいことは知っていたが、こうも無防備だと番として危機感を覚えるというものだ。
鍾離はおそらく幼子本人すらも気付いていない感情にいち早く気付き、頭を抱える。早くこの餓鬼を元の世界に返さなければ番との時間が更に奪われかねない。と。
幼いと言えども、所詮は自分だ。己の狡猾さを熟知しているからこそ、鍾離はモラクスをより一層警戒するのだ。
ウェンティに向けた眼差しとは全く異なる、『邪魔者』へと向ける眼光で幼子を見据える鍾離。
殺意は秘めたが、威圧は感じたのだろう。幼子は肩を震わせ表情を強張らせた。