TREMOLO [ANNEX]

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初めてを君に捧ぐ

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 恋人が嬉しいと、自分も嬉しい。
 だが、ウェンティは手放しで喜ぶことは出来ないと緩みそうになる頬を引き締めた。
「君はどうしていつもそうなの?」
「『そう』とは?」
「自分ばかり、って思ってるでしょ?」
「? それがどうかしたのか?」
 ぷくりと頬を膨らませて不機嫌をアピールするも、伝わっていない。
 鍾離は何故そんな顔をするんだと言わんばかりに不思議そうな顔をしていた。
「あのね、ボクだって君のこと大好きなんだよ? それなのに、どうして『自分ばかり』って思うわけ?」
「ふむ。つまり『お前も俺を求めている』と?」
「そうだよ! というか、当たり前でしょ? 大好きだから触りたいって、普通のことでしょ?」
 くるりとその身を半転させて鍾離と向き合うウェンティ。
 恋人を見上げるように睨みつけるも、精悍な顔を直視すると形だけの威嚇を通せないから困ったものだ。
(うぅ……顔が良すぎる恋人を怒る時、みんなどうしてるのさ……)
 ちゃんと分からせたいのに、大好きが溢れて甘えたくなっている。
 我慢しろと必死に自分に言い聞かせて睨み続けているウェンティだが、揺らめく翡翠は実に素直だった。
 自分を見下ろしている鍾離の琥珀が細くなり、口角は笑みを象る。
 これは自分の怒りをうやむやにしていちゃいちゃしようとしていると察したウェンティは、「モラクスっ」と牽制の声を発した。
「なんだ? 何故拒む?」
「君がエッチに持ち込めば誤魔化せると思ってるからでしょ!」
「『誤魔化す』? 何をだ?」
「ボクが君と同じ気持ちだってことを!」
「ん? それを何故『誤魔化す』必要がある??」
 絶対に流されないから!
 そんな意思表示をしてみたものの、鍾離から返ってくる反応はウェンティにとっては予想外だった。
 てっきり彼は『思惑がバレたか』と悪びれないと思っていたのに、本気で驚いていた。そして、理解できないと困惑も滲んでいた。
「お前も俺と同じ気持ちなのだろう?」
「そ、そうだよ!?」
「俺はそれに喜び、今すぐにでもお前が欲しくなっただけだ。お前の気持ちを誤魔化すどころか、お前の気持ちを受け取ったからこその行動だが、それでも拒むのか?」
 同じ気持ちだと分かったからこそ、早く愛し尽くしたいと思い求めているだけだ。
 だから拒まないでくれと懇願してくる鍾離は、ウェンティの答えを知っている。
(お尻撫でながら『お願い』するってどうなの?)
 自分が拒まないことを、むしろ悦んでいるいることを、鍾離は分かって聞いているのだ。



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2025-01-01 公開



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