TREMOLO [ANNEX]

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初めてを君に捧ぐ

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 軽口を楽しんでいた節があるのは否めないが、それでも今日『誘った』のはウェンティだ。
 滅多に自分から誘わない彼がお誘いしたということは、それほどまでにウェンティも鍾離を求めているということだ。
「我侭な奴だな」
 作ろうとしたムードをぶち壊しておいて、もう一度作り直せとは。
 呆れ口調でウェンティを見下ろす鍾離は、自分が笑っていることに気付いているだろうか?
「そんなボクも好きでしょ?」
 首に腕を回して引き寄せてくる愛らしい存在。
 鍾離は口角を持ち上げ、「ああ、愛している」と先程は止められた口づけを落とした。
 吸い付くような口づけを贈った後、続けざまに唇を重ねる鍾離。
 薄く開いたウェンティの唇に、誘われるがまま舌を捻じ込み口内を蹂躙する。
 ちゅくちゅくと舌を絡ませ可愛がってやれば、生じた快楽に焦れたウェンティが身体を摺り寄せてきた。
 自分を求める恋人の姿に滾らない男が居るのならば、是非とも逢いたいものだ。
 鍾離は口づけはそのままに、両手でウェンティの尻を鷲掴み揉みしだいた。
 腕の中に居る存在は、時折ピクリと反応を示す。
 もじもじと足をこまねき縋りつかれれば、悠長に事を進める余裕など無くなってしまった。
 鍾離は唇を放し、恋人を見下ろす。
 半開きの唇から乱れた呼吸を漏らし、潤んだ翡翠で見上げてくるウェンティは酷く煽情的だ。
 己の舌を舐め摺り咽喉を鳴らす鍾離は、服を脱がせる時間も惜しいと恋人の服下に――いや、下着の中に手を侵入させた。
 布越しではなく直接尻肉を鷲掴めば、愛らしい声を響かせるウェンティ。
 鍾離の上着をぎゅっと握り締めるのは、足が震えてしまっているからだろう。
「……まだ耐えられるか?」
「わ、かんないっ……、足、力、はいらない、かも……」
 どうにかして。と眼差しだけで訴えてくる恋人に、素肌に触れていた手を離すと、その手で恋人を抱き上げる鍾離。
 このまま寝室に移動するのだろうと彼の首に腕を回ししがみつくウェンティだったが、数歩歩いた後に直ぐに降ろされてしまい、目を瞬かせた。
 ふかふかの布団とは程遠い硬い天板を背中に感じ、「ここでするの?」と尋ねてしまうのは当然だろう。
 何故なら今ウェンティはベッドではなく、ダイニングテーブルの上に寝転がっているのだから。
「! んっ、っ、ちょ、っ、ま、まってぇ」
 質問の答えは返ってこなかったが、満面の笑みを見る限りそのつもりなのだろう。
 覆い被さり首筋に唇を落とす鍾離を止めようとするウェンティだが、今から此処で抱かれるのだろうと、抵抗は形だけのモノだった。



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2025-01-04 公開



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