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怯えが滲む表情。それは以前の彼からは想像できない姿だ。
しかし出会って二ヶ月の幼子はそんなこと知る由も無く、また生涯を共に歩むと誓った番の男には今更な姿なのだろう。
特に驚いた様子は見受けられない。
驚いているのはナヒーダだけだった。
「貴方もそういう顔をすることがあるのね」
「! ぶ、ブエルっ!」
「ごめんなさい。まさか貴方がこんな風に動揺するとは思わなくて……。つい含みのある言い方をしてしまったわ」
追い詰めるつもりはなかったと謝るナヒーダ。
追い詰められたつもりの無いウェンティは眉を下げておろおろしていた。
助けを求めるように鍾離へと視線を向けたのは無意識のこと。
視線を受け取った男は恋人を宥めるように注意を己に向けるべく友人の名を呼んだ。
「申し訳ないと思うのならば、分かるように説明してくれ」
「ええ、そのつもりよ。でも―――」
「なんだ。まだ勿体つける気か?」
「折角お友達のお家に遊びに来たのだから立ち話ではなくお茶を飲みながらおしゃべりしたいわ」
威圧する鍾離に臆することなく微笑む少女は、
「お土産のお菓子はお茶請けに良いと思うわ」
と、案内されるよりも先にリビングへと歩き出した。
「……! ま、まってぶえ――ナヒーダ!」
「呼び慣れないのであれば『ブエル』でも結構よ。ウェンティ」
「うぅ……君も案外いい性格しているね?」
「『も』ということは、私の他にも『いい性格』が周りにいるのね。一体誰のことかしら?」
私の知っている人?
満面の笑みで尋ねてくるのは確信犯である証拠だ。
ウェンティは拗ねるように頬を膨らませ、「君の思っている相手で間違いないよ!」とそっぽを向いた。
「まさかブエルがこんな腹黒だったなんて……」
「ふふ。私も貴方がこんなに可愛らしいとは知らなかったわ」
「かわっ!? 君、目が悪いのかい!?」
顔を真っ赤にして狼狽えている姿は可愛い以外に形容できない。
たとえそれがかつて飄々としてつかみどころのない『風神様』であったとしても。
歳月と共に『人』は変わる。
それは誰よりも『人』を愛した七神の一柱であったウェンティらしい変化だとナヒーダはまた笑った。