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「な……、『裏切る』って、なんでそんなことを……」
「番の『初めて』を全てもらい受けたのだから、俺もそうするのが筋だろう?」
「え……、それじゃ、まさか―――」
「ああ。俺も全てお前が『初めて』だ。記憶が戻ったことが、その証明にはならないか?」
髪を一束掬った鍾離は、色の抜けた毛先に口づけ琥珀を向けてくる。
ウェンティにとって色恋の全て鍾離が『初めて』だったように、鍾離もまたウェンティがそうだったと言う。
記憶が戻ってよかったと嬉しそうに笑っている鍾離。
ウェンティは困惑を通り越して呆然としていた。
「ああそうだ。いじらしくも嫉妬深い俺の番が勘違いしないよう、これだけは言っておかねばな」
「な、なに言って―――」
「記憶を封じていたから『未来』のお前の面影を追ったわけじゃない。俺が惹かれ愛したのはお前だ、バルバトス」
出会って、恋をし、愛したことは『誰か』の影響ではない。
ウェンティは鍾離が自分の意思で考え、自分の意思で選んだ相手だ。
「っ」
「愛している、バルバトス。俺の想いを疑わずに受け入れてくれるか?」
『否』と返ってくるわけがないと確信してる口調。
でも強気なのは口だけで、琥珀は不安に揺れてた。
(もっ、もー!! こんなの、狡い!!)
思っていたよりもずっと勢いよく飛びついてしまったが、許してもらいたい。
この感情を――この悦びを抑えろという方が間違っているのだから。
「愛してる、モラクスっ! 大好き! 大好きぃ!!」
「はははっ。嗚呼……、俺の、俺だけのバルバトスーーーいや、俺だけの『ウェンティ』に漸く会えた」
ずっと会いたかった。未来の自分と自分の番が贈る幸せに満ち満ちた世界から戻った時から、ずっと――――。
くぐもった声で零される、鍾離の想い。
ウェンティの瞳に浮かぶのは、涙だ。
「モラクス、っ、モラクス、大好きだよぉぉ……」
約束を守ってくれてありがとう。
ずっと待っていてくれてありがとう。
そして、出会ってくれてありがとう。好きになってくれて、ありがとう……。
尽きない感謝の言葉を愛と共に告げるウェンティ。
鍾離はそんな番を愛しげに見つめ、ありったけの想いを込めて口付けを贈った。