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歯止めを失った恋人達の情事は数日に渡り、とめどなく溢れる想いのまま互いを求め合った。
雄の欲が落ち着いた頃にはウェンティの体力は底を突き、果てた体力を回復するためか泥のように眠りについた。
無理をさせた自覚のある鍾離は愛おしい存在の体力が少しでも早く回復するようにと安眠できる寝床を整え、すやすやと穏やかな寝息を立てる風神の姿のままの恋人の寝顔をただ愛おしげに眺めていた。
愛らしい寝顔を見つめながら鍾離が思い出すのは、先の肉欲に溺れ堕落した二人の神の姿。
我ながら煩悩に塗れ過ぎだと呆れるほどウェンティの体躯を貪り尽くした筈なのに、許されるのであればまだ愛したいと思っている己の欲深さには最早笑えてくると言うものだ。
他者に対しては微塵も感じない劣情も、相手がウェンティとなればまったく話が変わってしまう。
これまで数えきれない程愛し合ってきたはずなのに、どうしてこうもこの欲は尽きないのか。全くもって愛とは難儀だ。
(岩の色に染まったはずが、何故こうも高潔なままなのか……)
恋人の身体に浮かぶ文様の輝きは、風のそれではない。
雄の欲望に塗れ、鍾離の愛で埋め尽くされたはずの体躯は、何故か今もなお純潔のように美しい。
それが恋人の欲目だと言うことは分かっているのだが、鍾離はどうすればこの美しい存在が自分だけのモノになるのかと真剣に熟思してしまう。
勿論、そんな手法は見つかるわけがない。何故なら、鍾離の腕の中で眠る存在は既に彼だけのモノなのだから。
「どれほど愛しても愛し足りない。どうすればお前に全てを伝えることができるんだろうな、バルバトス……」
自分の腕の中で眠りこけている愛おしい存在。その剥き出しになった額に眠りを妨げぬよう触れるだけのキスを落とせば、ウェンティは小さく身じろいだ。
眠りを妨げてしまったかと焦る鍾離だが、すよすよと心地よさそうな寝息が耳に届けばどうやら目覚める気配はないようだと安堵した。
軽率な行動だったと反省するも、寝顔を見つめていればどうにも触れたくなってしまうから困ったものだ。
堪えきれずに寝顔を隠すグラデーションのかかった髪を退けるように梳けば、今度は小さな呻き声が付いてきてしまう。
流石に起きたか? と顔を覗き込めば、己の寝顔を隠すように胸に顔を埋めてしがみついて来る愛おしい存在。
優しくその体躯を抱きしめれば、自分を呼ぶ声が耳に届いた。
「……バルバトス?」
起きているのかと名を呼ぶも、返事は無い。どうやらただの寝言のようだ。
鍾離の顔に浮かぶのは、それはそれは幸せそうな笑み。
しかしそれは当然だろう。眠る恋人が自分の名を呼んだ後に『大好き』なんて言葉を続けたのだから。
こみ上げてくる愛おしさに、思わず力任せに抱きしめたくなる。
しかしそれを実行に移せば、当然ウェンティの眠りを妨げることになるから、衝動を耐える鍾離はせめてもの慰めにと紺青の髪に口付けを落とすのだ。
「愛してる、バルバトス。良い夢を……」
愛おしい存在を抱きしめる鍾離は自分も少し休もうと目を閉じ、久しぶりに岩神モラクスと風神バルバトスとして抱き合い眠りにつける喜びに浸り、微睡へと意識を落とすのだった。