TREMOLO [ANNEX]

ゆらゆらぎが運営する同人系個人サイト

お互いが大好きで色々積極的な岩神と風神の話



「何も知らなかった初心なお前を淫らに変えたのは俺だろう?」
「そうだよ。だから―――」
「先の笑いはその喜びを噛みしめていたもので決してお前を嘲ったのもではない」
 何も知らなかった無垢な存在を自分が変えた。
 その事実は愉悦といった言葉では言い表せないほどの歓喜を生み、平静を装えずに表情に出てしまった。
 鍾離の言葉に翡翠を見開くウェンティ。驚いていることは明らかだ。
「初心だった頃のお前も勿論愛らしかったが、俺の指南で妖艶になったお前はそれ以上に愛おしい」
「も、モラクス?」
「しかしそれは当然だろう? お前は俺が俺好みに育て上げた至高の存在なのだから」
「! ば、バカじゃないの!?」
「なんとでも言え。それよりも、そろそろ再開してもいいか?」
 赤い顔をして暴れ出しそうなウェンティを抑え込むように抱きしめ、いい加減集中しろと甘いひと時へと誘った。
 恋人を愛し尽くしたいと反応を見せる股座を押し付ければ、腕に抱いた肩が小さく跳ねる。
「君って本当、エッチが好きだよね……」
「誤解を招く表現は止めろと言っているだろうが」
「『誤解』? 隙あらばエッチしたいって言われてると思うんだけど?」
「俺はお前を愛でたいだけだ」
「分かってるよ。だからエッチが好きなんでしょ?」
「全く分かっていない。お前の言い方では俺は他者とも交わる軽薄な男だ」
 交わることは確かに好きだ。
 齎す快楽に蕩けて甘えてくるウェンティの堪らなく愛おしい姿を見ることが出来るから。
 だが、交わること自体が好きなわけではない。
 重要なのは、交わることではなく相手がウェンティであることだ。
 つまり先の言葉は自分の思いが伝わっていないとも受け取れる言葉だったということだ。
 眉間に皺を作り、不機嫌を示す鍾離。
 ウェンティが見せるのは驚きを通り越してきょとんとした表情だった。
「何故驚く」
「だって君が思いの外可愛いことを考えていたから」
「『可愛い』?」
「うん。ボクは君が浮気なんてしないってちゃんと分かってるし、ボクだけってことも知ってるよ」
「ならば何故『交わる事自体が好きだ』と誤解を招くことを言った」
「ボクは、『ボクと』エッチすることが好きだよね? 意味で聞いたんだけど?」
 なんで分からないかな?
 表情を苦笑に変えるウェンティ。
 不機嫌なままの鍾離の頬を撫でようと手を延ばせば、迎えるように擦り寄って甘えてくる恋人の姿は随分と珍しいものだった。



 | 


2024-09-25 公開



Page Top