「おや。そんなに傷付いたのかい? 君の勘違いなのに」
「……狼狽えると口調が戻るのは変わらずか」
「! 煩いよ」
「お前こそ」
恨めしいと睨めば、同じ眼差しが返された。
暫し睨み合った後に吹き出したのはどちらが先か?
ひとしきり笑い合って戯れの口づけを交わす二人。
ウェンティが顔中に落ちてくるキスの雨をくすぐったいと声を上げれば、鍾離からは我慢しろと楽しげな声が返される。
「ちょ、くすぐったいってば」
「逃げるな」
「そう言うなら、ちょっと待ってよ」
「十分待っていただろうが」
どれだけ『待て』をさせれば気が済むんだと言い返す鍾離の手は明確な意図を持つ。
布越しではなく直接肌に触れてくるぬくもりに、ウェンティの唇から漏れるのは悩ましげな声だった。
「もぉ……、じいさんの癖に、朝から元気すぎるんだから」
呆れ口調ながらも鍾離に抱きつくウェンティは、唇へのキスを強請る。
恋人の要望に直ぐに応える男はいとも簡単にウェンティを組み敷き、朝からその身一つで愛を告げた。
何度も何度も唇を重ね、時折笑い合って額を小突き合わせる二人。
触れあうだけでは物足りず、早く繋がりたいと願いを口にしたのは今日はウェンティが先だった。
「渋っていた割には随分と我慢が利かないようだな」
「しぶってなんて、ないでしょ」
「ああ。アレは焦らしていただけか? それならばいい作戦だ。存分に煽られたからな」
「どうおもってもいいから、はやく」
涙目で睨まれたところで、迫力など皆無だ。一糸纏わぬ姿であられもない姿を晒すウェンティに覚えるのは、畏怖ではなく、嗜虐なのだから。
鍾離は愉悦に口角を歪ませ、下肢で猛々しく勃起している己の男根を手に取ると恋人の秘所にそれをあてがった。
シーツを握りしめ息を呑むウェンティ。緊張ではなく期待に満ちているその姿に、鍾離は動くことなく言葉を求めた。
「俺が欲しいか?」
言わずとも分かっているだろうに、敢えて口に出させるなんて意地が悪い。
此処で『欲しくない』と返したらどうするつもりなのか。
(やめるわけないよね。…………まぁ、いわないけど)
どんな答えを返しても、此処まで来て止まれるわけがない。ウェンティだってそれは同じだ。
だから、どうせならうんと幸せに浸りたいと鍾離の望む答えを返してやるのだ。