「ほしぃ……、モラクス、はやくきて」
強請る姿は妖艶以外に形容する言葉が見つからない。
鍾離は満足気に笑うと己の欲でウェンティを貫いた。
上擦った声で囀る鳥を見下ろし、腰を押し進める鍾離。
恍惚の表情で震えているウェンティは、言葉でも快楽を伝えてくれる。
「んんっ……、き、もちぃ……」
「嗚呼、実に愛らしく甘えてきているな……」
何度抱いても全く飽きることが無い甘美な体躯に溺れていれば、飽きたら絶対に許さないなる言葉が返って来た。
あまりにも物騒な言葉だったが、悩まし気な声はその緊迫感を削いでしまう。
だから鍾離は笑っているのだろう。
「ほん、き、だからっ! ボクのこと、すてたら、きみのこと、みちづれにする、からっ!!」
「それは良いな。お前と共に朽ちることが出来るのなら、悪くない終焉だっ」
「! あぁっ」
痛みを覚える程激しく最奥を突き上げられたのに、零れるのはやはり艶めいた声。
目の前は白み、星の瞬きのように視界が光と闇の点滅を繰り返して思考は途切れた。
ウェンティの体躯は弓なりにしなり、身体を巡る快楽に震えている。
鍾離は更なる快楽を与えるために追撃を行い、共に言葉にできない程の幸福感に酔いしれた。
「モラクスっ、もらくすぅっ」
「もっとだ。もっと俺を求めて啼け、バルバトス」
かけがえのない存在が自分を必要としている姿に言いようのない高揚を覚えてしまう。
何よりも自由を愛する者が自分を欲して腕を伸ばし縋りついて来る。
それは『愛』を告げる言葉以上の想いを鍾離に届けてくれた。
「バルバトス、バルバトスっ」
身体を駆け巡る快楽に支配されながらも、心を満たす幸福は安らぎを与えてくれる。
鍾離はシーツを握りしめていたウェンティの手に手を重ね、自分が与える快楽に浮かぶ恍惚を見下ろした。
指を絡め、硬く握りあう二人。
『離れたくない』と望む心を表すそれに、何故か熱いものが込み上がって来た。
「モラクスぅっ、すきっ、……だいすきぃ……」
突然過ぎる告白は嬌声と呼ぶには頼りない声で紡がれる。
愛らしい造形は歪み、潤んだ翡翠から雫が零れ落ち、快楽に反応する甘い声にかき消される愛の言葉。
鍾離は愛おしくて堪らないと言わんばかりの笑みを称え、ウェンティの目尻に口付けを落とした。