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狂戦士の誤算Ⅱ その後の話

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 ガヤガヤとした店内は活気に溢れ、食事を楽しむ人々の笑い声がそこら中から聞こえる。
 そんな店の一角で、テーブルに乗り切らないほどの料理が並べられた席があった。
 席に着いているのは鍾離とウェンティ、そしてタルタリヤ。
 男三人とは言え多すぎる量の料理を前に、好奇の目を向けてくる人も少なくない。
 きっと明日には今璃月港で盛り上がっている噂が更に増長するのだろうと頭を抱えたくなったウェンティ。
 せめて個室を選んでよとタルタリヤに文句を言うウェンティは、感じる視線を笑顔で撃退していた。
「とりあえず、乾杯でもしようか?」
「公子君って本当、マイペースだね」
「そりゃ、俺は別に切羽詰まっていないからね?」
 グラスを手に取るタルタリヤの満面の笑みは、鍾離に向けられる。
 挑発ともとれる言動に何とか平静を装うとしている鍾離だったが、残念ながら殺気が駄々洩れだ。
 此処に手練れの者が居れば、何事かと騒ぎ立てたに違いない。
 しかし幸いなことに気付いたのはタルタリヤだけだから、ウェンティも鍾離を嗜めることはせず誘われるがままグラスに手を伸ばした。
「何に乾杯するんだい?」
「そうだなー……。うん。やっぱり、鍾離先生の新たな一面に、かな」
「いい性格をしているよ……」
 呆れながらも『乾杯』とグラスを合わせるタルタリヤとウェンティ。
 鍾離はグラスを掲げるに留めていたのは、璃月式ということにしておこう。
「それにしても、俺が思っているよりもずっと遅かったね。流石、鍾離先生だ」
 グラスを空にしたタルタリヤ。鍾離は己の傍に置いた酒を手に取り、酌をしてやる。
 その間も、気を抜けば目つきが昔に戻ってしまう男の様子に、タルタリヤは笑みを苦笑いに変えた。
「『番』に触れないって、そんなに辛いんだ?」
「…………公子殿は己の好物である馳走が四六時中目の前に並べられても手を伸ばさずに居られるのか?」
「あはは。随分卑猥な例え方をするんだね。禁欲的で有名な鍾離先生の意外な一面をまた発見だ」
「食事の話が何故卑猥になるのか。公子殿の思考回路は理解し難いな」
「酷いなぁ。俺はちゃんと『意図』を汲み取っただけなのに」
 苦笑いを浮かべたままのタルタリヤは、料理へと手を伸ばす。
 彼は遠慮せずに食べるようにと勧めてくるが、そもそも今日の支払いはタルタリヤではなく鍾離だ。
 だが、何故君が勧めるんだと突っ込むことはしない。今日は『約束の条件』を緩和してもらうためにタルタリヤに夕食を奢ることになっているのだから。



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2025-09-04 公開



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