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狂戦士の誤算Ⅱ その後の話

12



「しかし、『番』を持つ種族って大変なんだねぇ。本当に酷い顔をしてるよ、鍾離先生」
「理解してもらえて何よりだ。ついでに金輪際関わらないと約束してもらえるか?」
「理解はするけど、それはそれ、これはこれ。それにさ、俺達友達でしょ? 友達に対してそんな寂しいこと言わないでよ」
 傷ついた~。なんて、どの口が言うのか。
 調子のいいタルタリヤには呆れてしまうというものだ。
 今目の前でいっそう殺気立っている男はその気になれば彼の命を容易く奪うことが出来る存在だというのに。
「まぁ冗談はこれぐらいにして、さっさと本題に入ろうか?」
「そうしてもらえると助かるよ。こんな生きた心地のしない食事は初めてだからね」
「ごめんごめん。鍾離先生らしからぬ姿が珍しくてつい、ね」
 これ以上は俺も命が惜しいから止めておくよ。
 引き際を見誤らない当たり、流石だ。
 まぁ、出来ることなら挑発することすらしないで欲しかったが。
「二人からのお願いは、『契約の条件を緩和して欲しい』、だよね?」
「うん。そうだよ。そもそもこれは鍾離先生と公子君とが交わした『約束』でボクには何の関係も―――」
「いいよ」
「え?」
「だから、『いいよ』」
 洗練された所作で食事を進めるタルタリヤは、薄く笑みを浮かべた。
 視線を寄越してくる彼は、見た目だけに限れば良い男だ。
 年頃の娘が先の視線を貰えば、黄色い悲鳴が鳴りやまないことだろう。
 しかし、そんな眼差しを向けられてもウェンティには全く響かない。
 彼が返したのは、顰め面と警戒だった。
「そんなに嫌がらないでよ。俺とウェンティ君の仲じゃないか」
「ボクと君は『鍾離先生を介した知り合い』以外の仲じゃないと思うけど?」
「ははは。バッサリだ!」
「……冗談だよ。でも『友達』って言うのなら、あまり鍾離先生を挑発しないでくれないかな?」
 友達の恋人を揶揄って遊ぶなんて趣味が悪いにも程がある。
 苦言を呈すウェンティにタルタリヤは肩を竦ませながらも謝ってくれた。
 素直過ぎると警戒してしまうのは許してもらいたい。
「『鍾離先生からウェンティ君に触らない』なら、いいよ」
「! よく分かったね?」
「少し考えれば分かることだよ。勝負したのは俺と鍾離先生。ウェンティ君からすれば勝負のことも負けた場合の『約束』のことも知らなかったんだからとばっちりも良いところ。なら『条件の緩和』としてウェンティ君の行動制限を外すって言うのが一番理にかなっているでしょ?」
 だから『新しい条件』は『鍾離からの接触のみ禁止』が妥当とのこと。
 考えていないようでちゃんと考えているんだなと感心したのはウェンティだけの秘密だ。



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2025-09-05 公開



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