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「へぇ~、ウェンティ君が『借り』だと思ってくれるんだ?」
「当たり前でしょ。ボクは善意を無碍にするほど恩知らずじゃないよ」
「だよねぇ。ウェンティ君は鍾離先生の『奥さん』だもんねぇ」
旦那の『借り』は奥さんの『借り』だもんねぇ。
肩を竦ませるタルタリヤの態度に小首を傾げるウェンティ。それが『家族』でしょ? と。
タルタリヤは普通の人と比べると壮絶な人生を歩んできたと鍾離から聞いている。
だがそれでも『まとも』で居られたのは、家族に恵まれていたからだとも聞いていた。
だからウェンティはタルタリヤには理解できるだろうと思ったのだが、違ったのだろうか? と眉を下げた。
「いや、違わないよ。俺もそう思うしね」
「だよね。良かった」
どれだけ癖があろうとも、『家族思いの青年』は健在のようだ。
ウェンティは安堵し、運ばれてきた酒を楽しんだ。
この『食事会』の目的は達成できた。
かといって『じゃあ、これで』と早々に席を立つのは礼儀に欠けるから、もう少し―――少なくともこの円卓に並んだ料理を食べ終わるまでは『食事』に付き合わねば。
「そうだ。『条件』を緩めた御礼をもう一つ貰っていいかな?」
「え? 後出し?」
「そんな警戒しないでよ。別に無理難題を吹っかける気は無いからさ」
気分よく酒を吞んでいたのに興醒めもいいところだ。
何を求められるのかと疑いの目を向ければ、本当になんてことの無い『お願い』をされた。
「『一曲唄って欲しい』って、それだけ?」
「だから言ったでしょ? 無理難題じゃないって。ウェンティ君の詩を聞きながら鍾離先生と談笑して食事が出来るなんて、最高だろ?」
二人にもてなされて食事が出来るなんて、モンドと璃月の人々が聞けば羨ましいと地団太を踏むことだろう。
なんて笑うタルタリヤは声を潜め、
「二人の正体は秘密だけど、知ってる人からすれば、ね?」
と悪戯に笑った。
屈託のない笑みに、毒気を抜かれる。
ウェンティは鍾離に視線を向け『これぐらい良いよね?』と許可を求めた。
無言のまま頷く鍾離。眉間には皺が刻まれていたが、許しは得たとウェンティは立ち上がった。
「何処に行く?」
「どうせ唄うなら、大勢に聴いて貰おうかなって」
鍾離の反応を待たず給仕係に声を掛けるウェンティは、今から店で唄っていいかと交渉する。
直ぐに支配人らしき人物が現れ、彼はどうぞどうぞと上機嫌で簡易的なステージを用意してくれた。
どうせタルタリヤが食事を終えるまで帰れないのだ。
それならばこれ以上二人が挑発し合わないよう唄で場を和ませるのもいいだろう。
璃月港でもすっかり有名になった『吟遊詩人ウェンティ』の特別ステージ。
居合わせた人々は幸運だと喝采を送り、美しい歌声に聞き惚れた。