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夜更けと呼ぶにはまだ早い時間。
それでも寝支度を始めているだろう人々は街から姿を消していた。
薄雲が月明かりを遮る空の下、街灯で照らされた路地を手を繋ぎ歩くのは鍾離とウェンティだ。
先程漸く『食事会』なるものから解放された二人は、掌から感じる恋人のぬくもりを一週間ぶりに堪能していた。
「それで、ボクを遠ざけて公子君は君に何を言ったのかな?」
「気付いていたのか」
「そりゃ気付くよ。君、殺気が駄々洩れていたもの」
一体何を言われればアレほどまでの殺気を放つのかと尋ねてくるウェンティ。
鍾離はやり取りを思い出したのか、苦々しい顔で「警告された」と応えた。
「『警告』って?」
「許したのはお前からの『接触』だけだ。と」
「? うん。それは君も分かっているでしょ?」
「ああ。だが公子殿は下世話な男だ」
「あー……、なるほど。うん。分かった」
『何』を言われたのか理解した。
空笑いを浮かべるウェンティは、暫く彼の周りでつむじ風が頻繁に発生するようにしてやろうかなんて考えてしまう。
しかしそれは当然だ。いくら周知された『夫婦』―――もとい恋人同士と言えども、閨事に口を出されるのは気持ちが良い物ではないのだから。
「君が怒るのも当然だね、それは」
「だろう? アレはお前が俺の番だと知りながらお前の乱れた姿を懸想した愚か者だ」
「んんっ、……だ、よね、ボクは君の『番』だものね」
「どうした?」
足を止め顔を覗き込んでくる鍾離。
何故赤面している? なんて、街灯があるとはいえ宵闇の下でよく分かるものだ。
「なんでもない」
他人の閨事に口出す礼儀知らずに怒っていたかと思えば、自分だけが見ることのできる姿を想像したことへの嫉妬だったなんて不意打ちもいいところだ。
ついつい独占欲が嬉しくてきゅんとしてしまったではないか。
「ウェンティ?」
「っ―――、もぉ……、そんな顔しないでよっ」
「どんな顔だ」
「『心配してる』って顔だよ!」
これ以上きゅんとさせないでよ! バカ!
照れ隠しで殴って来るウェンティに鍾離は破顔した。