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―――― 14日目
片方からだけとはいえ、触れ合うことを許されたおかげで鍾離の体調は随分と回復した。
傍目から見ればいつも通りと言っても遜色ないぐらいだ。
番のぬくもりを感じると安心すると言っていた彼のためにもウェンティはこの一週間、積極的に鍾離にくっついていた。
勿論、別々にしていた寝室も元通りだ。
とはいえ無意識下で愛しい番を抱きしめないなんて自制は難しいから、鍾離の手には特殊な仙術を施した手枷が嵌められ拘束されているのだが。
(手枷を見せられた時はびっくりしちゃったけど、でも、ふふ。そうまでして一緒に眠りたいだなんて、可愛いじいさんだよね)
一週間前、理由も聞かず『そんな趣味はない』と反射的に応えてしまったウェンティ。
その時の鍾離の慌てようは今思い出しても可笑しかった。
普段ならば『早とちりするな』と呆れた様子を見せただろうに、そんな余裕は微塵も無く弁解していた鍾離は本当に愛おしかった。
罪人のようなことまでして一緒に眠りたいのかと意地悪を言ったことは許してもらいたい。
欲しい言葉を貰った自分は、『仕方がないなぁ!』なんて言いながらも喜びを隠せていなかった事だろう。
思い出し笑いを浮かべるウェンティは、スヤスヤと穏やかな寝息を立てて眠る恋人の寝顔を愛しげに見つめる。
(やっぱり一人寝は淋しいものね)
一ヶ月も耐えずに済んで良かった。癖は強いが公子君の配慮には感謝しかない。
なんて思いながら、眠っていても精悍な顔立ちの鍾離に頬は自然と緩んでしまう。
(今日は休みだって言っていたし、ゆっくり休ませてあげないとね)
ぽふっと厚い胸板に頬を落とし、生きている証である鼓動を感じるように目を閉じたウェンティ。
伝うのは、一定のリズムで刻まれる脈動。
鍾離のこの音を聞くことが出来るのはテイワット中を探せども自分だけ。
彼のこんな無防備な姿を見ることが出来るのも、自分だけだ。
(これが『優越感』ってやつだね)
自分だけの鍾離。
彼が向けてくれる『独占欲』の理由が、ちょっぴり分かった気がした。
(…………後二週間とちょっとかぁ。早く過ぎないかなぁ……)
鍾離とタルタリヤが交わした『約束』の期日まで、あと半分。
最初の一週間は地獄だったが、この一週間は比較的平穏に過ごせたと思う。それはこうやって触れることが出来るから。
しかし、残り半分だと確認したウェンティが覚えるのは不安だった。
確かに自分からは触れることが出来る。それは喜ばしいことだ。
だが、満たされた状態が続けば物足りなくなるのが生物の性なのだろう。
ウェンティは己の中に芽生えた『欲望』に必死に蓋をする。まだ見ちゃダメだ。と。
きっと自覚すれば、二週間も我慢することが出来なくなってしまうから。