あなたは18歳以上ですか?
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「お二人さーん。私のこと、見えてますかー?」
「! あ……」
「安心しろ、胡堂主。身体は透けず、足もきちんと地に付いている」
「良かったぁ! 勢い余って黄泉の世界に入っちゃったかと思ったよ!」
嫌味だって分かっているでしょ!
そんな眼差しを鍾離に向ける少女は、もう一度盛大な溜め息を吐くと仕事に戻るよう促してきた。
「事情は分からないけれど、休暇を早めちゃダメだってことは分かったからね」
「すまない、堂主殿」
「御礼は良いから働いてねぇ! それと、ウェンティさん」
「なに?」
「鍾離さんが集中できてないのは、ウェンティさんが心配だからなんだよね?」
「う、うん。そう、だね……」
「なら、こんなところに座ってないで、鍾離さんの傍に居たらどうかな? 勿論、仕事の邪魔をしないように、だけどね!」
笑顔で手を差し伸べてくる胡桃に悪気はない。
少しでも番の傍に居たい。でも、傍に居れば居るほど、鍾離を苦しめることにもなる。
分かっているのに、どうしても差し出された手を突っぱね事が出来なかった。
ウェンティは鍾離へと視線を向け、『いい?』と縋るような眼差しだけで尋ねた。
「ありがたい申し出に感謝する、胡堂主」
「どういたしまして」
鍾離からの承諾を得てウェンティは胡桃の手を取り、立ち上がる。
すると、放された手で顎を抑える少女は何やら言いたげな顔をして視線を向けてきた。
「どうかしたのかい?」
「……何でもない。……さて! お仕事に戻ろうか! 鍾離さん!」
にっこりと笑みを見せる胡桃は踵を返し、先導するかのように往生堂へと歩き出す。
直前の様子を訝しみながらも後に続くウェンティは、陽の光が遮られたことに笑みを浮かべた。
「傍に居ても大丈夫なのかい?」
「問題ない」
「そっか」
隣を歩く恋人と手を繋ぎたいが、ダメだろうか?
なんて様子を伺っていれば、不機嫌な声が。
「だが、目の前で浮気をしたことを反省しろ」
「『浮気』?」
心当たりのないことを言われ、きょとんとしてしまうウェンティ。
視線を寄越さない鍾離の横顔は険しく、機嫌が悪いことは間違いないようだ。