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「公子君は君の状況次第では取引に応じると言ってくれているんだ。契約を違えることになって嫌かもしれないけれど、でも―――」
「断るっ」
ウェンティにとっては契約を遵守することよりも鍾離の方が大切だ。
だから頭を下げて制限を緩和してもらえるのならば、いくらでも頭を下げることが出来る。
しかしそんな想いを踏みにじるように鍾離は言葉を遮った。
心配を無碍にされれば正直良い気はしない。
だが、見るからに苛々しているだろうその姿は普段の彼からは想像も出来ないモノで、腹立たしさよりも恋人の異変が心配で堪らなかった。
心配のあまり、ならば契約が完遂されるまでの間自分はモンドへと帰ると言い出すウェンティ。
鍾離のストレス主な原因は、番が傍にいるのに触れることが出来ないというものだ。
ならば、自分が傍に居なければそれは幾分マシになると考えたのだ。
(淋しいけど、でもモラクスのためだもん。一ヶ月ぐらい我慢できる!)
昔は一ヶ月どころか数十年、数百年逢わないことだってあったのだから、これぐらい平気だ。
(……たぶん、我慢できる、はずっ)
物の寸刻で弱気になってしまったウェンティ。
番になってからというものよほどのことが無い限り鍾離と丸一日も離れることが無かったのだから、当然といえば当然かもしれない。
「お前は俺に死ねと言うのか?」
「どうしてそう言う解釈になるのかなぁ? ボクはただ君の心配をしているだけでしょ?」
「心配だというのならば、離れるという選択は出来ないはずだ」
「…………それ、本気で言ってる?」
鍾離が心配で堪らない。
それは嘘じゃない。
今も心配で胸が張り裂けそうなことも、勘違いではない。
だから何としてでも彼を説得しようと思っていたわけだが、心配していることすら伝わっていない物言いには怒りが込み上げてきた。
番と触れ合うことが出来ず、想像を絶するストレスを感じていることは分かっている。
だが、それでも忘れないでもらいたい。番に触れることが出来ないのは、鍾離だけではないということを。
(ボクだって触りたいの、我慢しているのにっ!)
自分ばかりが辛いと思っているのか、この石頭は。
理不尽な怒りをぶつけられ続けても『辛い思いをしているから』と許してきたが、此方の思いを軽んじられれば我慢の限界だ。
これ以上自分ばかり辛いと主張するというのなら、相応の覚悟をして貰うことになるだろう。
怒りと決意を隠すことのない強い眼差し。
『最悪』も想定したウェンティだったが、幸いなことに鍾離はそれに直ぐに気付いたようだ。