TREMOLO [ANNEX]

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狂戦士の誤算 その後の話



「んっ、ふぁ……、あ、も、もらく――んん」
 荒々しいキスにたじろぎ、反射的に逃げようとしてしまうウェンティ。
 しかし身体はがっちりと拘束されている。それでも本能的に身を引こうとするのだが、背中は玄関の戸にぶつかり、扉と恋人に挟まれ逃れることはできなかった。
 合間合間に声を発し制止を求めるのだが、それらは言葉になってはくれず誘うような喘ぎ声となって玄関に響いた。
 少年は普段の口づけですら翻弄されがち。今の状況であればそうならないわけがない。
 口内をかけずる恋人の舌に脳天が痺れ、呼吸すら奪われる。『待って!』と訴えていたウェンティの手から力が抜け、口づけに夢中になるにはさほど時間はかからなかった。
 与えられるがままに身を任せ、恋人の唇が生む快楽に思考が蕩ける。
 ウェンティの手には鍾離の上着がぎゅっと握られ、押される一方だった体勢もいつの間にかつま先立ちになっていて少年自らがキスを求めていた。
「…………? ……も、おわり……?」
 もっともっとと強請るように鍾離の唇に応えていたのだが、離れてしまうそれにとろんと蕩けた表情で恋人を見上げるウェンティ。
 熱に浮かされたその姿に鍾離は息を呑み、閉ざされることのない唇に揺れるよう指を添えた。
 夢中で貪ったせいで零れたどちらの物とも分からない唾液を拭ってやれば、ウェンティにその手を掴まれた。
 少年が何をするつもりか、鍾離は知っているのだろう。ジッとウェンティを見つめ、己の指先に口付けて来る姿に欲情を覚える。
「バルバトス」
「なに……?」
「そんな風に煽ると後悔するぞ」
「させてくれるの?」
 5本の指先に全て口づけ終えると、今度は人差し指を甘噛みしてくるウェンティ。
 かぷかぷと噛みついて来たかと思えば、そのまま口に含まれてしまった。口内で指に舌を絡め柔く吸い付いてくる様は、指を『何か』に見立てているようだった。
 鍾離が覚えるのは、嗜虐心。羞恥に震える姿が見たいと自分らしくない欲が生まれると同時に、その欲のまま衝動に身を任せた。
「随分美味そうに舐めてくれるんだな」
「……ほいひぃから」
 意地の悪い笑みを浮かべた鍾離の問いかけに、指を舐め続けているウェンティはちらりと視線を向けると目尻を下げて再び指に吸い付いて来た。
 辱めるつもりだったはずなのに、まさかの反撃を喰らう。
 ごくりと喉を鳴らす鍾離はされるがままであった指を動かし、明確な意図を持って少年の口内を蹂躙した。
 途端、漏れる甘い声。ライアーを奏でながら披露される素晴らしい歌声とは全く違う、色を感じるその音色は鍾離から理性をはぎ取ってゆく。
「公子殿に簡単に触れさせた仕置きをしないとな」
「! 耳元、だめっ」
 口内を弄んでいた指を引き抜き耳元に唇を寄せ囁きを落とせば、肩を震わせたウェンティにしがみ付かれる。
 縋るように首に回された腕。その細い体躯を支えるように腰に手を回すした鍾離はそのまま少年を片手で抱き上げた。
「彼には気をつけろと再三の注意を受けながら口づけまで許したんだ。明日の予定は全てキャンセルだな」
「あんなの、ただの挑発じゃないかぁ……、モラクスが公子君を構ってあげれば、彼もボクをダシに使わないよ……」
「アレが俺への挑発だと、本気で言っているのか?」
「? それ以外にないでしょ?」
 恋人を抱き上げたまま向かうのはもちろん寝屋だ。ベッドにその身を寝かせると覆いかぶさる鍾離は、その期待に応えると妖艶に笑う。
 しかし、ウェンティから返ってくるのは見当違いな反応で驚いた。わざと嫉妬させて激しく抱かれたいのかと思いきや、本気で青年からの好意に気づいていなかったようだ。
 驚きの表情で見下ろす自分に返されるのは、きょとんとした愛らしい表情だった。



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2023-07-28 公開



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