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「さて、お昼ご飯を食べようか」
膝を伸ばし立ち上がると後ろを振り返る。戻って来ていた恋人は難しい表情で腕を組み仁王立ちしていたが、ウェンティの困ったような笑い顔に小さく息を吐いて表情を緩めた。
鍾離が優しくてでもヤキモチ妬きな恋人であることは知っていたが、それでも此処まで独占欲を露わにすることは珍しい。
随分とこの幼子が気に入らないようだと苦笑を漏らすウェンティは、いまだ蹲ったままの幼子へと視線を移した。
「モラクス、手、洗っておいで」
「……わかった」
小さかったが素直な返事に笑みが零れる。
ウェンティの言葉に従い立ち上がった幼子は自分を睨みつける男の眼差しに肩を震わせるも、負けん気を発揮して洗面所へと駆けて行った。
モラクスの姿を目で追っていたウェンティは、ドアの向こうに消えた姿に恋人を振り返る。
「もう。どうしてそんな嫉妬するかなぁ?」
「アレが『俺』だからだ」
「確かにそうだけど、ボクが好きなのは君であってあの子じゃないんだよ?」
ヤキモチは嬉しいが、自分の想いを疑っているのであれば嬉しくない。
そう訴えるように鍾離を見上げれば、彼はその大きな掌を頬に添えてきた。お前の想いを疑ってるわけではない。と言いながら。
「じゃあどうしてそんなに嫉妬するの?」
「言っただろう? 『アレが俺だからだ』と」
「だから、それってボクがあの子の事好きになりそうで嫌なんじゃないの?」
「違う。あいつがお前に心を寄せると分かっているから腹が立つんだ」
何故分からないんだと眉間に皺を作る鍾離はウェンティを抱きしめ、自分以外が恋人に触れることが堪えられないと苦し気な言葉を漏らした。
力強い腕に抱かれたウェンティはというと、鍾離の腕の中で目をぱちぱちと瞬かせていた。
(えっと……つまり、モラクスはあの子が自分と『同じ』ならボクのこと好きになるに決まってるって言ってる?)
自分が何を言っているか理解しているのだろうかと疑いながら彼に真意を尋ねれば、ウェンティが想像していた通りの言葉がそのまま返ってくる。
頬を撫で「『俺』はお前を愛さずには要られない」と苦しそうな心を吐露する鍾離。
次の瞬間、ウェンティの顔はそれはそれは見事なまでに真っ赤に染まった。
狼狽え何を言っているんだと彼の腕から逃れようとするも、腰をしっかり抱かれていては叶わない。
それどころか、絶対に隙を見せるなと注意を促され、あまりにも必死な様子に目が回りそうになった。
「や、ヤダなぁ! 君、そんなにボクの事好きだったの!?」
「今更何を言っている。そうでなければ番になってくれなど言うわけないだろうが」
「そうだよね!? あはは! ボク何聞いてるのかね!?」
驚きと恥ずかしさ、そして喜びに感情が乱れる。
愛されているとは分かっていたが、まさか自分の想像以上に想われているとは思わなかった。
突然突き付けられた事実に、鍾離のことを愛してやまないウェンティは自分でも訳が分からない程混乱してしまったのだった。