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「もぉ。びっくりさせないでよ」
「別に気配を消していたわけじゃない。何をそんなに呆けていたんだ?」
何処か不機嫌を感じさせる声色。
ウェンティは隠すことではないからとありのままを伝えた。
予想通り、鍾離の表情は険しいものに変わっていったが。
「ヤキモチ妬いてる?」
「今の話で妬かない理由が何処にある?」
「ふふ。だよね。……ねぇ、少し屈んでよ? 背伸びしても届かないんだからさ」
上着を引っ張りおはようのキスをしようと誘えば、微妙な表情を見せる鍾離。
幼子へ嫉妬しながらも恋人からのキスのお誘いは嬉しいといったところだろうか。
恋人に強請られるがまま身を屈める鍾離は、罪深いほど愛らしいウェンティからの口づけを受け取り漸く機嫌を直した。
「おはよう、モラクス」
「ああ。おはよう、バルバトス」
離れた唇が再び重なってしまうのはいつものことだ。
出来ることならこのまま暫くいちゃいちゃしたい。
だが、残念ながら元気な足音が聞こえてくるから甘い雰囲気は此処で一旦終わらせないと。
「はぁ……心底忌々しい……」
「そう言わないの。別の世界とはいえ自分自身なんだからね?」
「だからこそ一層忌々しい」
ならば他人であればいいのかと意地の悪い質問を投げかければ、赤の他人であればそもそも家に住まわせることもないと切り捨てられた。
悪い神様だと笑うウェンティ。鍾離からは、相手が『モラクス』でなければそもそも別世界の存在だということも分からないだろうと正論が返って来た。
(確かにそうか。あの子が『モラクス』だから過去から――もしくは別世界から来たと分かったのであって、そうじゃなければただの記憶喪失者かなにかだと思われるのが精々だものね)
そう考えれば恐ろしい可能性が頭に過る。もしかするとこの世界には幼子のような存在が他にもいるのかもしれない。と。
「……案ずるな。ブエルには連絡を入れてある」
「流石だね」
「理を介さない事象だからな。致し方あるまい。彼女の手助けで事が解決した暁には相応の礼をするつもりだ」
「そうだね。その時はボクも一緒に御礼の品を選びに行くよ」
「ああ。よろしく頼む」
鍾離の嬉しそうな笑顔から、デートの約束だと心を躍らせたのはウェンティだけではないようだ。
だがしかし、浮かれる前に肝心の『問題』を解決しなければ折角の約束もいつ果たせるか分からないというもの。
急かすことになると知りつつも、鍾離はブエルことナヒーダに再度連絡を入れることにした。