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自制していた物事も一度『例外』を作ってしまえばなし崩しになってしまうのが『弱さ』というものだ。
そしてそれは決して人にだけ当て嵌まるモノではないのだとウェンティは痛感していた。
「何故顔を隠している?」
「なんでもない……。ちょっと反省中なだけだから気にしないで……」
鍾離の腕の中、両手で顔を覆い隠しているウェンティは、自分がこれほどまでに欲に弱いとは思わなかったと落ち込んでいた。
愛し合った後に恋人がこのような態度を取れば普通ならば怒るなり不機嫌になるなりするところだろうが、鍾離はウェンティの様子を笑いながら眺めているだけで責めることはしなかった。
きっと何に『反省』しているのか理解できるのだろう。
「かつて『神』と崇め奉られていようとも、所詮はただの魔神。欲望が抑えられないことは別におかしなことではないぞ」
「そうだけどさぁ……。でも、流石に堪え性が無いってモラクスも思っているよね……?」
「それは、まぁ。そうだな。一応、二週間は堪えることが出来ると証明はされているからな」
「でしょ? それなのに、昨日もしたのに今日もしちゃってるし……」
我慢が出来ないにも程がある。
理性的ではないと落ち込むウェンティに、鍾離は何も言えず宥めるように髪を撫でることしか出来なかった。
幼子が二人の前に現れてからそろそろ二ヶ月が経過する。
しかし事態は特に変化を見せておらず、世界樹の知識を有するナヒーダの手を借りても猶この特異な事象は解決の糸口すら見つかっていなかった。
勿論幼子は引き続き二人の家に匿われているのだが、二カ月も経てば慣れるというもので、初期の警戒が嘘のように普通に日々を過ごしている。
おいそれと外出させることは出来ないが、それでもウェンティと鍾離がと一緒であれば近場を出歩くこともあるほどだ。
周囲には遠縁の親戚だと幼子のことを紹介したのだが、三人連れ立って歩く姿は仲睦まじい親子にしか見えず、男同士で子を成すことのできない二人が養子を迎えたと巷で噂になっているらしい。
鍾離の耳にもその噂話は届いていたが、敢えて訂正はしなかった。この先幼子が元の世界に戻れないようであれば、きっとウェンティはそうしてしまうだろうと思ったからだ。
とはいえ、幼子が元の世界に還る方法は勿論探し続けている。
本来の居場所に戻るべきという理由も当然あるが、成長した幼子が鍾離にとって厄介な存在になることは明白だったからだ。
まだ恋慕ではないにしろ、幼子がウェンティを好ましく思っていることは明らかだった。
このまま懐く程度であればいいのだが、相手は鍾離自身。成長すればウェンティを欲することは説明するまでも無い。
龍族にとって番となる存在は生涯にたった一人。故に番に対する独占欲は執着と言っても過言ではないほど苛烈なものだ。
幼子がウェンティを見つめる眼差しに宿る親愛の情に焦燥を覚える鍾離は、番が己のモノだと示すようにマーキングを施している。
最初は抱擁や口づけ程度に留めていたが、一度抱いてしまえば我慢が利かなかった。
二週間は堪えれるはずが、一週間も待たずして番を求めてしまうようになった鍾離。
そしてそれはウェンティも同じだったようで、一週間に一度が三日に一度になり、今では幼子が現れる以前のように毎晩愛を紡ぎ合ってしまっていた。
「仮初でも一応『神』だったのに、煩悩って本当怖い……」
「同感だ。……だが、愛しているのだから致し方あるまい」
反省は程々にして顔を見せてくれ。
そう促すように手の甲に口づけを落とせば、漸く美しい翡翠を見ることが出来た。