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隣国スメールからブエルことナヒーダが璃月港を訪れたのは翌日の昼下がりのことだった。
訪問の理由は深刻なものだが、それでも友人に会えるのは嬉しい。
知るのが遅すぎて納得のゆく歓迎は出来なかったが、それでもウェンティは出来る限りナヒーダの訪問を祝った。
「こんなに喜んでもらえるなんて、嬉しいわ。ありがとう、バルバ――ウェンティ」
「どういたしまして、ナヒーダ。言い直してくれたことも。でも、他の人がいないと鍾離先生はいまだ『バルバトス』って呼ぶから気にしないでね」
「いいえ。それは遠慮するわ」
「『遠慮』?」
「私の独り言よ。気にしないで」
愛らしく笑うナヒーダの笑みは意味深だ。
これは問い質しても答えは得られないだろうと早々に諦めるウェンティは、後ろを振り返り警戒を露わにしている幼子に手招きをした。
「モラクス、おいで」
「彼が『過去から来た岩の魔神』なのかしら?」
「そう。……モラクス、この子はナヒーダ。スメールの、その、偉い人だよ!」
「初めまして。私はナヒーダ。ウェンティと鍾離先生のお友達よ」
「…………モラクス、だ……」
警戒しつつもちゃんと握手を返す幼子を偉い偉いと褒めるウェンティ。
その姿はどう見ても親子だ。
微笑ましい友人の姿に笑うナヒーダが視線をその奥へと向ければ、何やら複雑な面持ちの鍾離の姿を見ることが出来た。
「久しぶりね、鍾離先生。元気だったかしら?」
「ああ。変わりない。ナヒーダ殿も息災のようで何よりだ」
挨拶に返される笑みは穏やかな彼そのものだ。
しかし、その笑みは直ぐに陰る。
彼の視線は幼子に注がれていて、その隣には我が子に愛情を注ぐ親のようなウェンティの姿があった。
「…………大変ね」
「ああ。解決の糸口すら見つからず時間だけが経過していることに焦りを覚える始末だ」
実に苦々しい顔だった。
こんな鍾離を見るのは初めてかもしれないと内心驚くナヒーダだったが、直ぐに彼の種族を思い出し、無理もないことだと考えを改めた。
「もしもこのまま『解決』しなかった場合にどうするつもりか考えを聞いてもいいかしら?」
「必ず解決させるために考えないようにしている」
質問に苦笑を返してくる鍾離。
ナヒーダはなるほどと頷くと暫し考え込んだ。
「……草神の知識を持ってしても策は得られずか?」
「何故そう思うの?」
「俺がアレを処分するか否かを知るための質問だろう?」
苦笑は変わらず。
だが、琥珀は一切の揺らめきが無かった。