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「叶うはずもないと分かっていても願わずにはいられない。そんな想いを私は沢山知っているわ」
穏やかに微笑むナヒーダ。
少女の手はティーカップを取り、洗練された動きでそれを唇へと運んだ。
モンド産の器に注がれた璃月産の茶を一口飲んだナヒーダの笑みは一層深くなる。
愛おしげにティーカップを見つめる姿は何を意味しているのだろうか?
「ぶ、ブエル……?」
「ああ、ごめんなさい。貴方達がお互いを想う気持ちが伝わってつい感動してしまったわ」
「えぇ……?」
「鍾離先生もウェンティも、本当にお互いが大好きなのね」
満面の笑みとストレートな言葉で胸の内を暴かれる。
意味が分からず困惑していたことも忘れ、顔を真っ赤にして何を言っているんだと狼狽えるウェンティ。
鍾離は眉を顰め、あたふたしている恋人を己の腕の中に攫った。
「ちょ―――、モラクスっ!?」
「そう何度も愛らしい姿を他人に晒すな。我慢するにも限度がある」
人前で何を考えているのだとウェンティは暴れる。
だが鍾離はそんなことなど気にも留めず、友人と幼子を睨みつけた。
「あらあら。お願いだから私に『忘れろ』とは言わないで?」
「できなくとも努力をしてもらいたい」
「そうね……、善処するわ」
(絶対嘘だ!)
『考えるため』の間ではなく、『考えてる素振り』のための間だった。
恋人の腕の中、大人しくなったウェンティは『放して』と鍾離の逞しい腕を叩いた。
不本意そうに解かれる抱擁。
ウェンティは恋人の独占欲に苦笑いを浮かべ友人へと向き直った。
「ブエル―――じゃない、ナヒーダ。この子は―――、モラクスは、ボクの『願い』が呼んでしまった子なんだね?」
「ええ。そうよ」
どちらでもいいと言っているのに言い直す律儀な友達。
ナヒーダは微笑みをそのままに頷いた。
ジッと自分を見つめる翡翠にペリドットを細め、応える。
(自由を愛する貴方の『望み』がまさか、自分の知らない彼の過去に関するものとは私も思わなかったわ)