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(それなら、それならば――――っ、いやっ、結論を急ぐな。まずは、ウェンティの話を聞いてからだ)
ぐっと拳を握りしめ期待を押し殺すモラクスの顔つきは幼子ではなく男のそれだった。
自分の粗相の跡を片している『番』を見つめる金色に宿るのは、確かな欲。
きっとこの目を見ればウェンティは幼子の『変化』に直ぐに気付くだろう。
その時、彼が見せる行動は果たしてモラクスの望むモノだろうか?
確証の無いモノに身を委ね行動するなど、愚か者のすることだ。
モラクスは己を律するように瞳を伏せ、芽生えてしまった『心』を己の内に沈め隠した。
「お待たせ」
割れたティーカップと一緒にナヒーダに出したソレを片して再びテーブルに着くウェンティ。
その手には新しいカップは見当たらない。
てっきり茶を飲みながら話すと思っていたモラクスは、何故? と当たり前の疑問を抱いた。
しかし、疑問を口に出すよりも先にその理由を知り、胸が痛む。
「それは、あいつのじゃないのか?」
「そうだよ?」
当然のことのように片さず残されていた鍾離の湯呑みに手を伸ばすウェンティ。
眉を顰め、新しいものを用意したらいいだろうと提言するのは、嫉妬のせいだ。
「大丈夫だよ。普段も偶に鍾離の借りてるから今更怒られたりしないよ」
違う。そんな心配はしていない。ただあいつのモノを自分のモノのように扱い振舞う姿を見たくないだけだ。
しかし、その想いを口に出すことは出来ない。
モラクスは言葉を飲み込み、押し黙った。
(今までも、見てきたことだ。……それなのに、何故……)
鍾離とウェンティは『番』だ。
最初こそ信じられなかったが、一緒に暮らしていくうちに番うべくして番ったのだろうと納得してしまうほど二人の仲は睦まじかった。
だからこれぐらいのことはこれまでも何度も目にしていた。むしろ、見慣れた光景と言ってもいいだろう。
それなのに、何故自分はこんなにも苦しいと感じているのだろう……。
「モラクス」
「なんだ」
「大丈夫? 話、やっぱり聞きたくない?」
「いや、大丈夫だ。……俺が呼ばれた理由を早く聞かせてくれ」
何を勘違いしているのかは分からないが、少なくともウェンティが気にしている理由で口を閉ざしたわけではない。
すると、「分からないのに否定しちゃうんだ?」なんて楽しげに笑われた。
その笑顔を見れば、胸の痛みは不思議と和らいだ。