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質問を先回りして口にする鍾離にウェンティが返すのは頷きだ。何か知っているのかと期待して恋人を見つめれば、少年に視線を向けた彼は「不可思議な事が起こるものだな」と眠りこけている少年改め、過去の鍾離――いや、モラクスを観察していた。
どうやら彼も何が起こったかまでは分からないようだ。
ウェンティは鍾離の背中に隠れるように引っ付くと彼の肩越しにまだ眠っている少年に改めて目をやった。
この状況ですやすやと眠りこけている少年はよく見ると確かに恋人の面影があるように思う。
ジッとその寝顔を観察した後首を横に回して恋人を見れば、「まだ生まれて一〇年程度だろうな」とまた先回りした回答が返ってきた。
「生まれて一〇年……」
「なんだ?」
「ううん。モラクスにもこんな小さかった頃があるんだなぁって思って」
「お前は俺を何だと思ってるんだ?」
生まれた時からこの姿のわけがないだろうが。
そう苦笑を漏らす鍾離は、背中に圧し掛かっている恋人の頭を撫でると観察していた昔の自分の姿から視線を外し、横を向けば直ぐそこにある恋人の頬に口付けた。
「! ちょっと……!」
「ああ、すまん。近くにあったからつい、な」
「『つい』でキスしないでよね!」
べしっと背中を叩くも、大した威力ではないため痛くも痒くない。
鍾離は言葉だけの謝罪をもう一度すると、再び自分達のベッドで我が物顔で眠りこけている子供に手を伸ばした。何をするんだとウェンティが止めようとするも、それを制止して。
子供の姿をした自身に手を伸ばす鍾離は僅かにそこに殺気を乗せる。勿論それは本気のモノではなく、この頃の自分の警戒心を計るための本のお遊び程度のものだ。
いまだ眠りこけているこの子供は、果たしてこれに気付くだろうか?
「!」
伸ばし手が子供の肩に触れるか否かで閉じていた少年の瞳がカッと見開かれる。
人外の者だと一目でわかる瞳孔は黄金色の中で開き、そして鋭い爪が生えた手が鍾離の腕を鷲掴んで止めた。
「……何者だ」
一瞬にして殺気を纏う少年は押し殺した声を出す。だがその音は女子のように高く、まだまだ餓鬼だと鍾離達に知らしめた。
一丁前に威圧してくる子供を生意気だと思ったのは鍾離で、警戒心剥き出しのその姿を可愛いと思ったのはウェンティだった。
恋人が纏う風の元素が変化したことに気付いた鍾離は少年を無視してウェンティを振り返ると、
「おい、なんだその態度は」
と、不機嫌を露わにした。
それが嫉妬だということは永い付き合いだ。ウェンティも直ぐに理解したのだろう。
困ったように笑いながら「だって……」と言葉を濁してはぐらかせるか試みる。
まぁ、無理だということは誤魔化そうとしたウェンティ自身が一番よくわかっているのだが。