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「そんな風に睨まないでよ。でも、仕方ないでしょ? だって可愛いんだもん」
「それは浮気と分かっての発言か?」
「もぉ! そういうんじゃないってば!」
向けられる怒気に、口元がむずむずする。だってこれは愛しているが故の怒りなのだから。
ウェンティは堪えきれず嬉しそうに表情を綻ばせ、自分に嫉妬しないでよと鍾離の頬―――いや、口角にチュッと口づけを贈った。
幼いながらも神々しさを纏う少年を形容する言葉に『可愛い』を用いるのは不適切だと分かっている。
しかし、分かっていても『可愛い』と思うのは、自分は決して見ることが叶わないと諦めていた愛しい彼の幼少期を前に、どうしても嬉しくなってしまっただけのこと。
つまり、全て鍾離への―――目の前の恋人への想いがあってこその感情なのだから。
「機嫌直してよ。お願い」
「……こんな口づけ一つで俺の機嫌が直ると思っているのか?」
訴えかけるような懇願に返ってくるのは、仏頂面。
でも、彼のこの表情が不快を表しているモノではないことはちゃんとわかっているからウェンティは尋ねるのだ。
「治らないの?」
と。
小首を傾げ尋ねるウェンティに返されるのは、「お前には敵わないな」という言葉と笑い顔。
首を伸ばした鍾離によって奪われる唇。
チュッと触れ合ったそれに、ウェンティが見せるのは綻ぶ花のような笑顔だった。
「オイ! 俺を無視するな!!」
機嫌を直した恋人に、ウェンティも応えるようにキスを返そうとした。
だが、かけられた怒声に現状を思い出して、一気に恥ずかしくなってしまう。
思わず鍾離の背に身を隠すウェンティと、恋人からのキスを遮られて再び不機嫌になる鍾離。
ベッドに横になっていたはずの子供は鍾離の腕を掴んだまま起き上がっていて、怒りを露わに此方を睨んでいた。
小さいながらもやっぱり鍾離――モラクスだと感じるのはその神々しさと勇ましさ。
しかし唯一違うのは、その黄金色に僅かな不安と恐怖が滲んでいる事だった。
「貴様ら、俺が誰か分かっているのか!?」
捲し立ててくる幼子は己の弱さを隠すように大声で怒鳴っている。
しかし、その精一杯の威圧にも目の前の男は一切怯まない。
まぁ、当然だ。相手は過去の自分で在り、力の差は歴然。まさに大人と子供――天と地ほど違うのだから、鍾離には幼子の威圧などただの虚勢にしか過ぎなかった。
本来なら、理性的な対応をするべきところだろう。
何故過去の自分が此処に居るのかと疑問を解消し、この幼子が本来の世界に戻る方法を模索することが正しい行動だ。
だがそう理解していても、やはり恋人との睦言を邪魔された事と、恋人がこれを『愛らしい』と称したことが鍾離はどうにも気に食わなかったようだ。
鍾離が現状に困惑する過去の自分に向けるのは、それはそれは冷酷な眼差しだったから。