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「モラクス……」
「伝えておかねば、お前はどうせ今度は未来の『自分』に嫉妬するだろう?」
「うぐっ……、それは、否定できないね……」
前科があるだけに素直に認めるしかない。
肩を落とすウェンティに、モラクスは笑った。
「俺が今お前に抱いている思いは色恋ではなく憧れに近い感情だ。だから、安心しろ。あいつにとってお前が『唯一』だ」
「っ、ありがとうっ」
「泣くな。今あいつが戻ってきたら、俺は殺される」
「泣いてないよ!」
泣きそうになっていただけで、泣いてない。だから、セーフ!
目尻を濡らしながら強がるウェンティに、モラクスはまた声を出して笑った。
「もぅ……。大人を揶揄うもんじゃないよ!」
「そう言うのならば大人らしく振舞ってくれ」
「! 可愛くないね!」
なんだか急に成長したんじゃない!?
なんて睨んでくるウェンティの言葉は、正しかった。
(俺は元の世界に戻って『ウェンティ』に逢うためにこの未来を目指さなければならないんだ。餓鬼のままで居られるか)
記憶を消せども、この情熱は残ると確信しているモラクス。
彼は早くこの世界の自分のように全てを守れるほど強く、賢い男になるために、今まさに成長を遂げたのだ。
「ウェンティ」
「何? また―――」
「ありがとう」
また揶揄う気かい?
そんな恥ずかしさを隠した悪態を、穏やかな声が止める。
驚き幼子を見つめれば、そう称するには相応しくない『男』の顔をした少年の姿が其処に在った。
「……ボクの方こそ、ありがとう。君に逢えて、良かった」
何故かは分からない。だが今、『別れの時』を感じた。
ウェンティは真っ直ぐにモラクスを見つめ、『過去の自分』によろしくと微笑んだ。
彼が元の世界に戻れば、自分はその記憶から消えてしまう。それがほんの少し残念だ。
そんな心を見透かしたのは、少年はこれが世界のためであり、ウェンティのためだと笑った。
あまりにも穏やかな微笑みは、恋人を彷彿させる。
目を細め笑みを深くしたウェンティは、自分の執着と嫉妬が呼び寄せてしまった『過去』の還りを見届けた。
「本当にありがとう、モラクス……」
リビングには、ウェンティの姿だけ。
これまで散々『過去』に囚われていた心は驚くほど軽く、『未来』を向いていることが嬉しい。
自分勝手な『奇跡』に巻き込まれた少年が元の世界に戻れたことを喜ぶ彼は、どうか『過去』が辿る未来が同じでありますようにと願い、祈った。