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「見ろ。もう蜜が染みてきている」
「っ」
自分の身体のことだ。隆起のてっぺんに滲む染みが何故できたのかなど改めて言われなくても分かっている。
それなのに鍾離は敢えて羞恥を煽る言葉を口にするから、ウェンティの色白の肌が見て取れるほど赤くなった。
『言わないで』と涙目で見上げるウェンティ。その表情はいつもの飄々としたそれとは異なり、縋りつくような頼りなさが滲んでいる。
鍾離は恋人の表情に心が躍る感覚を覚え、自然と笑みが零れてしまう。だがそれは穏やかなものではなく、獲物を前にした捕食者の興奮を彷彿させた。
「お前は俺の精が強いと言うが、三日三晩抱かれてなお欲情を覚えるその体躯は違うと言うのか?」
「なんでっ、……なんでそんな意地悪言うのさ……」
限界を超え、潤んだ瞳からは今にも涙が零れそうだ。
鍾離はウェンティの目尻に唇を寄せると涙が頬に零れ落ちる前にそれをすくい、ちゅっと口づけた。
優しいキスに一瞬気が緩む。だが、愛しい存在の恥じらう姿がもっと見たいと願う雄は安堵するウェンティの耳元で低く甘い声を響かせた。
「その方が反応が良いからに決まっているだろう?」
「んんっ、耳元、喋んないでよぉ……」
「何故だ? 俺の声は嫌いか?」
耳朶に何度も落ちてくる口づけ。そして、脳内に直接響かせるように囁かれる声。
分かっていて追い立ててくる恋人に、何故今日はこんなにも意地悪が過ぎるのだと思いながらも、彼が言う通り身体は愛される行為への期待に溢れていた。
櫻の幹に身体を押し付けるように抱きしめてくる鍾離。
密着する身体はウェンティの期待を恋人に隠すことなく伝えている。そしてまた、恋人の興奮も伝わっているから胸が苦しい程高鳴ってしまうのだ。
「答えろ、バルバトス。……俺の声は、嫌いか?」
「―――っ、す、きぃ……、大好きぃ……」
生暖かく湿った何かが耳朶に触れる。
それが鍾離の舌だと気づくよりも先に敢えて卑猥な音が響く様に吸い舐められれば、ウェンティの理性は呆気なく遠退いてしまった。
思考を埋め尽くす快楽はそのまま背中を這って腰に響き、更には恋人を受け入れる後孔がひくりと震える。
組み敷かれ、愉悦に歪む雄の顔で両足を左右に広げられて愛を埋め込まれる瞬間。それはこんなにも簡単に想像できる。
真名を呼ばれながら、また、愛を囁かれながら乱暴に体躯を揺さぶる恋人の姿は普段の真面目で禁欲的な風貌からは想像できない程獣染みている。
精悍な顔を快楽に歪ませ動物の交尾さながらに腰を振る姿は、無我夢中で求められているようで愛おしい。
(モラクスっ、モラクス、大好きっ、大好きぃぃ)
心の中でありったけの想いを叫ぶウェンティ。しかし、溢れる想いを内に留めておくにはこの身体は少々小さかったようだ。
「ああ、俺もだ。お前を愛してる、バルバトス」
「んぁぁ―――、だ、めぇぇ……」
快楽にぐちゃぐちゃになっていた脳内に響く、鍾離の甘い声。
自分にしか聞こえないよう押し殺した声を耳元に落とされたウェンティは、がくりと膝が折れてしまった。
「腰が砕ける程俺の声が好きか?」
抱き留められたおかげで地面に座り込むことは無かった。
だが、満足気に笑う鍾離は己の大腿を股座に割り込ませてきて、更にはその足で下肢を煽るように押し付けてきたから堪ったもんじゃない。
ウェンティは恋人の首に巻き付けた腕を引き寄せ、『違う』と涙声を響かせた。
「何が違う?」
「こえ、だけじゃないもん、モラクス、好きなのぉ」
低く身体の奥底に響く声ももちろん好きだが、それ以上に鍾離が大好きだから勘違いをしないで欲しい。
そう想いを伝えるウェンティの声は力なく震え、甘える様な上擦った音を奏でた。
誰からも称賛される素晴らしい詩を披露する詩人であるはずのウェンティ。そんな彼がまるで言葉を忘れたかのように『好き』と繰り返し、ただひたすら恋人の愛を求めている。
鍾離の口角は弧を描き、恍惚とも呼べる笑みがその表情に浮かんだのは言うまでもないだろう。