TREMOLO [ANNEX]

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風神が嫉妬する話

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「相変わらず俺を煽るのが上手いな」
「ほぇ……?」
「何でもない。……ただお前が愛おしいと言う話だ」
 先程までの拘束するための強引な腕ではなく、優しい抱擁でウェンティを包み込む鍾離。『愛おしい』という感情がまた増した。なんて楽し気な声を落としながら。
 快楽に堕ちている思考のせいか、ウェンティは鍾離の言葉があまり理解できない。だが、奏でられる音と彼を纏う風は優しく、そして愛に満ちているから頬を緩ませ喜びを伝えた。
 大好きだよ。だからこれからも余所見しないでボクだけを愛して。
 そう甘えるように鍾離に身体を摺り寄せれば、恋人は当たり前だと視線を交差させてきた。
「俺にはお前以上に大切な者など居ないといい加減理解しろ」
「ボクが一番?」
「だから、そう言っている」
 ウェンティのトロンと蕩けた眼差しに映るのは、真剣な面持ちの鍾離。一点の曇りもない琥珀色は言葉が真実だと告げている。
 しかし、彼の愛に蕩けているウェンティは言葉を理解できても留めておくことはできないのだろう。『愛の言葉』に返事をするよりも瞳を閉ざし、キスを強請っていたから。
 『続き』を求める仕草に鍾離は小さな苦笑を漏らす。あまりにも愛おしすぎて。
 愛してやまない恋人からの求めに応えるのは、当然のことだ。
 鍾離は薄く開かれた唇に己の唇を重ねる。吸い付くようなキスは触れるだけ。だが一度放したそれは再び重なり、今度は誘われるがまま恋人の唇を割って舌を侵入させた。
 深い口づけで呼吸すら奪うようにウェンティを貪れば、必死にしがみついていた腕からは徐々に力が抜け、体躯はピクピクと生まれる快楽に小さく跳ねていた。
「……改めてその身にこの想いを刻んでやる」
「やぁ……もっと、モラクス、もっとキスしてぇ……」
 唇を離せば透明な糸が二人を繋ぎ、それが消えるとウェンティの唇から漏れるのは甘えたような泣き声だった。
 自分を求める恋人の瞳は熱に潤んでいて、焦点が定まっていない様に感じる。もう何度も身体を重ねているはずなのにいまだ口づけだけで蕩けるウェンティの姿に、鍾離が覚えるのは雄としての高揚だ。
 性を知らなかった無垢な存在を穢した背徳感に打ち震え、もっと自分一色に染めてやりたいと征服欲が顔を出す。
「モラクス、ねぇ、はやくぅ」
 頬に添えられる指は期待に震え、雄を誘惑するように桜色の唇から赤い舌をちらつかせる姿は見た目の清楚さとは真逆だった。
 鍾離の興奮は高まり、ウェンティの腹に当たる男根は熱と質量を増大させた。
 欲望に身を任せたいと叫んでいるが、此処は野外。普段のような準備も無ければ恋人の身体を包み込むふかふかのベットももちろん無い。
 鍾離は込み上げてくる衝動を必死に抑え、まずは己の番の身体を拓くことを優先した。
 ウェンティの望み通り口づけを落とす鍾離は、恋人の服下に手を侵入させる。
 いつもなら執拗に胸を弄り、『もうやめて』と啼かれてから下肢に手を伸ばすのだが、何故か今日は異常なまでに身体を繋げるよう気持ちが急いていた。
 即物的過ぎると嫌がられるかと懸念を抱きながら尻を揉めば、塞いだ唇からくぐもった音が漏れる。反応を気にして今一度唇を離せば、甘い嬌声が耳を擽った。
「んっ、……ぁっ、んんっ、ね、ぇ、じらさないでよぉ……」
 愛を受け入れる花弁を避けるように尻を撫でまわす手に、物欲し気な声がかかる。恋人を見下ろせば、じれったい快楽に身悶えるように震えている姿が目に入った。
「こんな『処理』のように抱きたくない」
 想いと行動が乖離していることは鍾離自身重々承知している。
 それでも、ウェンティに分かって欲しいから口に出して伝えれば、こんなに心が通っているのに『処理』なはずがないだろうと上擦った声で返されてしまった。
「好きだから繋がりたいって、普通のことでしょ?」
 即物的に相手を求めているのは鍾離だけではない。ウェンティもまた、鍾離の愛が欲しいと直ぐに身体を繋げたいと願っているようだ。



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2023-09-19 公開



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