あなたは18歳以上ですか?
18歳未満の方の閲覧を固くお断りいたします。
「お前にそこまで言われて『探す』とは言えないな」
鍾離の表情がふわりと和らぎ、迷惑をかけたと言いながら髪に落ちてくる口づけ。ウェンティは何故髪に? と首を傾げた。いつもなら絶対唇に落ちてきたはずなのに。と。
「『デートがしたい』と言っただろう?」
「うん? 確かに言ったけど、関係あるの?」
「なんだ、俺がどれほどお前を愛しているか実感しておいて分からないのか?」
「その言い方、なんか嫌だ!」
「此処に口付けてしまえば止まれないと分かっているから敢えて避けた。……どうだ? 伝わったか?」
顎に添えられ、上を向かされる。そうかと思えば節くれ立った男の指が愛おしそうに唇をなぞってくる。
告げられた言葉を咀嚼して理解するまでに少々時間を有したのだろうか。
ウェンティは遅れて頬を赤らめ、恥じらうように鍾離から視線を背けた。
「あ、あんなにしたのにまだしたいのっ?」
「愚問だな」
こっちを見ろと言う少々強引な手に抗えない。ウェンティは恥ずかしいと思いながらも再び鍾離を見つめる。
端正な顔立ちでありながら精悍さも併せ持つその顔面は実に整っていて、まさに色男と称するのにふさわしい。きっとこの眼差しで見つめられて落ちない者など居ないだろうと早くなる鼓動を感じながらも恋人に見惚れてしまうウェンティ。
本来、人外である自分達にとって人の容姿の優劣など些末なモノだ。
人が口にする美醜はその外見に対するモノが殆どで、整っていれば整っているほど優れているとされている。
しかし、人ならざる物にとって、人の美醜は外見ではなくその内にある輝きを指す。他者を思いやり慈しむ者の輝きは強く、反対に他者を陥れる者は消え入りそうな光となり『輝き』と呼ぶことすらできないものになる。
故に己の外見はもちろん、恋人の外見に対してもなんの感情も持ち合わせてはいなかった。持ち合わせてはいなかったのだが、鍾離を愛おしいと思えば思うほど内なる輝きだけではなくその器にも惹かれてしまうのだから『愛』とは厄介な感情だ。
「そんな目で見るな。……稲妻に滞在できる日数はもうそれほどないんだぞ」
「うぅ……、ボクだけのせいじゃないと思うんだけどっ」
堪らず鍾離に抱き着くウェンティ。その胸に顔を埋めて力いっぱいしがみ付けば、返される抱擁。
体格差がある故すっぽりと包み込まれてしまう体躯に、鼓動はお祭り騒ぎとばかりに早くなるくせに心はこの上ない程安堵しているから不思議なものだ。
「夜までは耐える。だから、必ず今宵も抱かせろ」
「夜だけ、だからね? 折角二人きりで旅行に来てるんだから、エッチだけじゃなくてちゃんと観光もしたいよ」
「分かっている。その『契約』は必ず守る」
「ん……。なら、いいよ……」
甘えるようにしがみついてくる恋人。夜が待ち遠しいと思ったのは、鍾離だけだろうか?
「本当なら『契約の証』として口づけの一つも貰いたいものだが、それをすれば契約を破ることになりそうだな」
「夜まで我慢?」
「ああ、そうなるな。……堪えれるか?」
意地悪な質問だと苦笑するウェンティだが、鍾離から神妙な面持ちで「俺はかなり辛い」と言われてしまえば強がる方が恥ずかしい気がして素直に頷きを返した。