あなたは18歳以上ですか?
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「将軍様、できればお二方の御耳にも入れておきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「それは璃月とモンドにも関係ある事柄ということですか?」
「断言はできませんが、おそらくは」
「分かりました。……二人とも、構いませんか?」
綾人の言葉に頷く影は鍾離とウェンティに視線を向け、同席するよう促す。
『璃月とモンドにも関係がある事柄』。そんなことを言われて『否』と返すわけがない。鍾離もウェンティも頷き、綾人の言葉を待った。
「まだ調査の段階ではあるのですが、此処稲妻で異国人が失踪している可能性があります」
「! それは真ですか?」
「はい」
神妙な面持ちで説明する綾人に影は眉を顰めた。自身が統治する国で失踪事件が起こっているなど、由々しき事態。
しかも失踪しているのは稲妻の民では無く異国人。おそらく綾人が鍾離とウェンティに同席を求めたことから璃月人とモンド人が被害に遭っているのだろう。
まだ事件であると確定したわけではないが、もし本当に事件であれば国際問題になりかねない。統治する者として、稲妻の守護神として断じて軽視することのできない事態だ。
影は綾人に早急に状況の確認及び整理を命じ、自身の眷属にも同じく命じる。
稲妻で起こっているかもしれない失踪の真偽を確かめるべく統制をとる彼女の姿は実に頼もしいものだった。
自国の民が失踪しているかもしれない事態は気がかりだが、鍾離とウェンティはこの問題は早々に解決するだろうと確信した。
しかし、まさかそれが思いもよらぬ形で『解決』するとは思わなかった。そしてそれにより非常に恥ずかしい想いをするとはこの時は鍾離もウェンティも想像していなかっただろう。
「ふむ……。異国人の失踪者、か……」
「どうかしたのですか、神子」
「いや、少々気になることがあってのぅ……」
珍しく真剣に何やら考え込んでいる八重に、影は神妙な面持ちで何か知っているのかと尋ねた。
すると八重は影の言葉に反応を示さず数刻黙り込むと、自分に視線を向ける主ではなく綾人へと向き直った。
「綾人。その失踪事件とやらが発生していると判断したのは何故じゃ?」
「はい。先日私が宮司様に託った書簡を届けに此処鳴神大社を訪れた際に綾華――私の妹が道中でこれを発見しました」
八重の問いに綾人が取り出したのは鮮やかな緑色の布。それにはモンドで好まれている刺繍が施されていた。
綾人が差し出した布地を目にした八重は目を見開き、影は眉を顰めた。
しかしそれに気づく者は居らず、綾人は事件を疑った『理由』を続けた。
「おそらくモンド人が身に着けていたであろう履物かと存じます。私は異国の刺繍に明るくはありませんが、幸いにも家司がモンド出身。彼曰く、彼の地で好まれている柄だとか」
真剣な面持ちで説明を続ける綾人に対し、八重は顔を背け、影の眉間の皺は更に深くなった。
自国の名が出たことで気が気でないウェンティは三人のやりとりこそ聞こえるものの綾人が差し出した『根拠』を確認できず身体を左右に揺らしていた。