TREMOLO [ANNEX]

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風神が嫉妬する話



 ウェンティの『本音』に満足気に笑う鍾離は、まだ俯いたままの恋人を促すようにその顎に手を添えた。
 大した抵抗もなく顔を上げるウェンティの顔はそれはそれは赤くなっていて、羞恥のせいか瞳は潤んでいる。
 幾度となく愛し合っているにもかかわらず、まるで初めてかのように恥じらう姿は何度見ても愛らしい。
 鍾離は表情に笑みを称えたまま恋人と唇を重ねた。一度目は慈しむように。二度目はその唇の柔らかさを確かめるように。
 唇を離す際に僅かに響くリップ音。それは離れ難い想いを増長させ、直ぐにまた口づけを落としてしまう。
「モラクス、ここじゃヤダ……」
 触れるだけの口づけを交わしていれば、すぐにそれだけでは物足りなくなる。深い口づけへと誘うように恋人の唇を舌先でなぞる鍾離。
 だが、深い口づけを拒むように身を引いたウェンティに「待って」と止められてしまった。
 ストップをかけられると思っていなかった鍾離はそれに当然不満を抱く。だが、うっとりとした眼差しで見つめてくる恋人の表情を見るに愛し合う事への『ストップ』ではないようだ。
 ウェンティは鍾離の不満顔に眉を下げ、窓辺じゃエッチに集中できないとしがみついた。エッチするならちゃんとベッドに連れて行ってよ。と。
「随分初心なことを言うんだな。ベッド以外でも抱いたことはあるはずだが?」
「もう! 家と旅先を一緒にしないでよ!」
「分かっている。今のは冗談だ」
 意地が悪いと睨んでくる恋人を抱き上げる鍾離は椅子から立ち上がり、窓辺を後にする。そのまま客室のベッドに恋人を寝かせると自身は踵を返して窓から室内が見えないよう襖を閉じた。自分に愛されて色付く恋人を他者の目に触れさせるわけにはいかないから。
「待たせたな」
「ん……。ボクこそ止めてごめん」
 ベッドに乗り上げ恋人に覆いかぶされば、首に巻きついてくる腕。引き寄せてくるその腕に抗うことなく鍾離はウェンティに口付けを落とし、先程は止められた深い口づけを交わした。
 身を委ねるように差し出される舌を舐め、歯列を割って上顎へと愛撫を移せば腕の中に居る体躯に力が入った。それは緊張などではなく、これから自分を飲み込む快楽への期待だ。
「上顎を撫でると、お前はまるでまたたびに酔う猫のように大人しくなるな」
「らってきもちいぃんだもん」
 口内への愛撫を中断して揶揄う言葉を口にする鍾離。恋人とのキスにうっとりと思考を蕩けさせていたウェンティはどうして止めるのかと恋人のキスを求めて唇から舌を覗かせた。
 もっと気持ちよくなりたいと快楽に貪欲になるウェンティ。鍾離は笑みを深くし、口づけだけでいいのか? と意地悪を投げかけた。
「此処も、此処も、お前は好きだろう?」
 鍾離が触れるのはウェンティの胸元と下肢。此処への愛撫は要らないのか? と尋ねてくる鍾離は、やっぱり意地悪だ。いつもならキスをしながら勝手に手を伸ばす癖に。
 ウェンティは唇から覗かせていた舌を引っ込め、頬を膨らませる。
「今日は意地悪したい日なの? 久しぶりのエッチだし、ボク、嫌なんだけど」
 言葉で恥ずかしがらせるだけならまだしも、求める快楽を与えず身体を焦らす意地の悪いエッチは今日は嫌だとはっきりと意思表示するウェンティ。
 長い船旅で禁欲生活を強いられていたこともあり、今日はどうしても普段の鍾離に抱かれたかったのだ。
 意地悪されたくないと唇を尖らせ表情を拗ねたものに変えるウェンティに、鍾離は口角を上げ「なら苛めるのはまた今度にしよう」と突き出た恋人の唇に口付けを落とした。
「今日はお前が望む通り、優しくしよう」
「絶対だからね?」
「ああ。俺がお前との『契約』を破ったことがあったか?」
「……ない」
「だろう? だから安心して俺に愛されていろ」
 口づけの合間合間に交わす言葉。鍾離は船上で抱けなかった分も愛させてくれと恋人と深い口づけを交わした。
 



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2023-09-09 公開



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