あなたは18歳以上ですか?
18歳未満の方の閲覧を固くお断りいたします。
「ち、ちがう! 違う違う! エウルアは――、あいつはただ単に友達が泣いてたから怒ってるだけだ!!」
あらぬ誤解をしてくれるな! その一心で声を荒げるガイアの注意が背後に逸れたとほぼ同時に床を蹴るエウルア。
(しまったっ)
慌てて視線を同僚に戻して己の剣を鞘から抜くガイア。
流石西風騎士団の騎兵隊長だ。動きはとても滑らかで無駄がない。
しかし相手も西風騎士団。此方は遊撃小隊の隊長だ。実力はガイアに勝るとも劣らない。
唯一の懸念は、細身の片手剣で全てを薙ぎ払う両手剣を受け止めることができるか、だ。
(手加減はしてくれてるよ、な?)
エウルアの剣が狙うのは、ガイアの背後にいる鍾離。
標的の前に立ちはだかる男もろとも一撃を喰らわせようとしているそのモーションに、どうか店の損害を最小限に抑えられますようにとガイアは祈った。
(床板ぐらいなら、許せよ。ディルック)
それ以外に被害が及ばないようにするから。
そう心の中で義兄に語り掛けるガイアは振り下ろされる剣に垂直に交わるよう己の剣を構えた。
しかし、待てど暮らせど、エウルアの剣がガイアの剣に触れることは無かった。それは何故なら―――。
「でぃ、ディルック!?」
「全く。ちょっと店を離れただけでどうしてこんなことになっているんだ、君達は」
エウルアの剣を受け止めているのは、先程まで酒場に居なかったはずのディルックだった。
彼は片手で己の剣を構え、背後にいる義弟に後程経緯をちゃんと説明するように言ってくる。
驚きにガイアが間抜けな声でそれを承諾すれば、ディルックは一瞬柔らかい笑みを浮かべ、そして交えていた剣を引くエウルアに真面目な表情で「落ち着いて話をしよう」と提案した。
「退きなさい。彼は制裁を受けるべきだと君も思っているはずよ」
「僕はそんな風には思っていない。当人同士がきちんと話し合うべきことだと君だって本当は分かっているんだろう?」
「話し合ってまた泣かされたらどうするの? 私は、友達が泣かされて平気な顔なんてできないわ」
「だから、それは誤解だと―――」
「ディルック殿。心配してくれてありがとう。俺なら大丈夫だ。……それに俺も、彼女の『言い分』とやらにきちんと向き合うべきだろう」
エウルアの怒りはまだ鍾離に向けられている。
ディルックはこの短い時間で義弟が苦労したことを察し、頭を抱えた。
できることなら他所でやってくれと放り出したいが、それをするわけにもいかない。
仕方ないからエウルアを宥めようと試みるディルック。
するとそんなディルックを止めるように鍾離が肩を掴んできて、エウルアと自身が対峙するよう前に出た。
いくら事情が事情と言えども、鍾離は璃月からの客人。西風騎士団の隊長格が一方的に粛清したと話が広まれば、外交問題に発展しかねない。
慌てて彼を止めるディルックだが、鍾離は振り返ることなく「心配には及ばない」と聞き入れる気はなさそうだ。