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欲には際限が無い。満たされることはあれどそれはほんの一瞬で直ぐにまた別の欲が沸いてくる。
それはまさに強欲と呼ぶにふさわしく、知的生命体が持つ逃れられない宿命の一つなのかもしれない。
鍾離は何度抱いても決して飽きることのない恋人の体躯を貪りながら、命ある限りこの欲が無くなることは無いだろうと遠い未来を想像し、笑った。
果てども果てども、尽きることのない欲。恋人は既に正気ではなく、虚ろな目で自分の名を呼び艶やかな声を奏でている。
中断するべきだと理性が本能を抑え込もうとするのだが、もう何度もそれは失敗に終わってしまっていた。
申し訳ないと思いながらも、愛おしいという感情を制御できずに自分のすべてで想いを伝える鍾離は、何度目かの射精で漸く理性が本能に勝つことができた。
「バルバトス、っ、聞こえるか」
子種を全て恋人のナカに放った後、頭に昇っていた血が急激に下に降りてくる感覚を覚える。
荒い息遣いのまま自身の下でだらしなく口を半開きにして涙を流している恋人に意識の有無を尋ねれば、呻き声が僅かに返された。
どうやら声は聞こえているようだが、返事ができるほど理性は残っていないようだ。
きっと正気に戻った後自分は『加減ってものを覚えてよ!!』と怒られるだろう。『面目ない』と頭を下げる自分の姿も容易に想像でき、つい苦笑が漏れてしまう。
汗ばんだ額に張り付いた紺青の髪を退けるようにかきあげてやると、剥き出しになった其処に口づけを落とす鍾離。
「愛してる……」
唇を離す際零れるのは、内に留めておけない想いの欠片。どれほどこの言葉を口に出そうとも、自身の中にある想いの寸分にも満たないから困ったものだ。
再び恋人を見下ろせばはくはくと何か伝えようと動いている唇。だが音は奏でられることは無く、鍾離はそれが少し残念でならないと思う。
美しい詩を紡ぐ恋人の唄声はこの世のどんな音よりも美しく、そして心地よい響きだ。それは周知の事実であり、唄声のために大枚をはたく者もいるぐらいだった。
そして鍾離にとっては、唄声だけではなく彼が奏でる音全てが最高の音色だ。己の無体のせいだと知りつつも、その音を聞くことができないことを残念に思うのはむしろ当然のことだろう。
「すまない。……少し待ってくれ。今水を用意する」
もう一度額に口づけを落とす鍾離。彼は身体を繋げたまま上体を起こすと手を伸ばし、蛇口をひねると近くにあったグラスを手にとった。
なみなみと注がれたグラスを蛇口から離すと、快楽の波から戻って来れないウェンティに渡すことなく自分の口にそれを含んだ。
何か伝えようと動いている唇を塞ぐように口付ける鍾離は、自身の口に含んだ水を恋人の口に流し込んでやった。
こくこくと与えられたものを飲み下すウェンティ。その抗う素振りもなく、信頼して身を任せている姿に胸が熱くなるのは仕方のない事だと言わせてもらいたい。
(欲とはなんとも業が深い感情か……)
先刻あれほど愛を伝えたはずなのに、もう物足りなくなっている。
だが、流石に今のウェンティの状態を見てこれ以上愛し合う行為を続けるわけにもいかず、また芯が通りそうな自身の男根を制する為に欲情から目を逸らす鍾離。
口内の水を全て与えた彼は、本当ならこのまま続けて口づけてやりたいところだったが何とか自制して唇離すことに成功する。
「大丈夫か?」
「だい、じょ、ぶじゃ、ないっ」
「だろうな……。本当にすまない」
漸く言葉を零せるようになった恋人の声はやはり美しく、ずっと聞いていたいと思うほど心地よかった。