TREMOLO [ANNEX]

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愛しき日々

16



「うぅ……まだ、きもちぃ……」
「! これ以上無茶をさせたくないと耐えているのに何故煽る」
「ばかぁ」
 流石にこれ以上はもう無理だと顔を歪めるウェンティ。鍾離はその額に再び口づけを落とし、分かっていると苦笑を漏らした。
 しかし、分かっていると言いながら身体を繋げたままでは信憑性に欠けるだろう。名残惜しいが、放してやらないと。
 鍾離はまだ愛し足りないと煩い本能を理性で抑えつけ、愛しい恋人のナカから楔を取り除いた。まだ快楽が続いていると言ったウェンティはそれに甘い声で囀り、危うく再び奥に楔を打ち付けそうになったが、何とか堪えることに成功した。
 繰り返し愛を注がれた恋人の大腿には溢れた精液が伝い、生物が持つ繁殖本能がその光景に情欲を駆り立てた。
『番を孕ませろ』
 そう叫ぶ獣染みた雄の本能が心底忌々しい。
「もらくす……?」
「……湯浴みの準備をしてくる」
 自身の欲への嫌悪が顔に出てしまっていたのだろう。不安げな声が耳に届き、鍾離は慌てて表情を笑みに戻すと、立つことも儘ならないだろう恋人に少し離れることを告げた。
 だが、立ち去るよりも先に上着を掴まれれば、強行するわけにもいかない。
 鍾離は笑みを苦笑に変え、不安を与えたことに謝罪した。
「そんな顔をするな。お前を愛していることは今しがた迄伝えたはずだ」
「でも……」
「堪え性のない自分が疎ましく思っただけだ。お前を傷つけたいわけでも苦しめたいわけでもないはずなのに、どうにも上手くいかん」
 愛し尽くしたい衝動のまま行動した結果、こんな風に無理を強いたことは初めてではない。その度、もう二度と繰り返さないと己に誓っているにも拘らず、欲を抑えきれずにまた同じ過ちを繰り返してしまう。何度も、何度も。
 それが辛いと琥珀を伏せる鍾離。何故慈しむように愛せないのか。と。
 彼が自身の欲深さを悲観していれば、視界に入るのは伸ばされた恋人の手だった。
 迎えるようにそれを手に取りそのまま唇へと導いた男は、『愛してる』と想いを込めてその指先に口付けを落とした。
「もらくす、そばにきて」
 恋人に強請られて応えないなど男ではない。鍾離はウェンティが望むまま彼に覆い被さり抱きしめてやった。
 背中に回される腕にはまだ力が入っていなかったが、それでも離れたくないと訴えるようにしがみついてくる存在が愛おしくて堪らない。
「愛してる、バルバトス」
「しってる。……ぼくも、だいすき」
 情事の最中のように『愛してる』とは返されない。だが、宿る想いは同じだと伝わってくる。
 鍾離は愛しみを隠さぬ笑みを浮かべ、ウェンティを見下ろした。
「また無体を強いてしまったことを、許してくれるか?」
「ゆるすもゆるさないもないよ。ほんとうにいやだったら、ぼくがおとなしくしてるとおもう?」
 琥珀を覗き込むように見つめてくるウェンティは、これでも一応『風神』と呼ばれていたんだぞと分かり切った言葉を添えて笑いかけてきた。



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2023-12-31 公開



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