TREMOLO [ANNEX]

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愛しき日々

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「そうだな。……だが俺は、お前を大切にしたい」
「たいせつにしてくれてるでしょ。むずかしくかんがえすぎだよ、モラクス」
「しかし――」
「きみがたいせつにできてないとおもっていても、ボクはたいせつにされてるとおもってる。それがすべてだよ」
 鍾離がどう思っていようとも、受け取ったウェンティ本人が感じたことが真実だ。
 そんな当たり前のことが頭から抜け落ちていた鍾離は、苦しげに笑った。どれほど愛おしいと思わせれば気が済むんだ。と。
「まだたりないぐらいかな? ずっといっしょにいたいし」
 だからもっと好きになってよ。
 そう言って微笑む姿に、我慢できずに口づけを落とす鍾離。触れるだけ、と思っていたにもかかわらず、気が付けば舌を絡めた濃厚な口づけを贈っていた。
 まだ残る快楽の上に快楽を上乗せされて苦しいだろうに、それでも応えてくれるウェンティをどうしようもないほど愛していると感じる。
 鍾離は理性を総動員して唇を離し、唾液で光る唇を拭うように指を這わせた。
「日々お前への想いを募らせているが、足りないか?」
「たりないよ。ぼくはそれいじょうにまいにちきみをすきになってるんだから」
 快楽の追い打ちをかけたことで呂律は先程よりもおぼつかなくなってしまっている。
 ウェンティは蕩けた表情を緩ませ、大好きという気持ちには天辺が無いと幸せそうに笑ってみせた。
「っ、……、愛しているぞ」
「ん。ぼくもだよ」
「お前は俺だけのものだ。俺だけの……」
 この愛おしい存在を誰にも渡してなるものか。それがたとえ互いの命を分けた存在であっても、コレは自分だけのモノだ……。
 口にすることのできないそんな狂気じみた想いを込めて額に口づけを落とせば、それにも笑いを零すウェンティが愛らしい。まさか自分が存在しないモノに嫉妬しているとは思ってもいないのだろう。
 鍾離はそのまま永遠に気付かないままでいてくれと願い、もう一度、今度は唇に口づけた。
 触れるだけのキスを受け取るウェンティはそれを堪能するように鍾離の唇に吸い付いてくる。
 本人は甘えているだけだろうが、暴走しそうな狂愛を抑える男には誘いのように思えてならないから困ったものだ。
「待て、バルバトス」
「ちゅー、だめ?」
 誘惑に耐えて唇を離せば、悲しそうな表情を見せる愛しい存在。
 鍾離は苦笑いを浮かべ「このままでは本気で抱き潰しかねない」と、口づけを中断した理由を伝えた。
 貪るように抱いた直後にも拘わらずまだ納まることのない欲を持て余す自分には戯れの口づけですら呼び水になりかねない。と。
「うぅ……ごめん……」
「何を謝る? お前を大切にしたいと言っただろう?」
 むしろ、堪え性のない番ですまない。
 そう言って苦笑を濃くする鍾離は、湯浴みをして食事をしようと提案した。抱き潰されて疲労困憊のウェンティにはこの後は自分に奉仕されてくれと懇願を続けて。
 



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2024-01-01 公開



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