TREMOLO [ANNEX]

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愛しき日々

19



(今日はもうバルバトスを休ませることだけを考えるんだ)
 そう己に言い聞かせながらキッチンに戻った鍾離。だがそこで見た光景に、繰り返していた決意が頭から抜け落ちてしまう。
 しかしそれは仕方のないことだろう。床にしゃがみこんだウェンティが恋人の上着を愛おしそうに握りしめ、己を慰めていたのだから。
「バルバトスっ!?」
「モラクス、ごめっ、ごめん……、でも、おなか、まだ、淋しくて……」
 何をしているんだと駆けよれば、泣きそうに歪む愛らしい顔。
 自分の指じゃ全然気持ち良くなれないと涙声を響かせるウェンティに、鍾離がとる行動など決まっている。
 愛おしい存在の腕を掴むと、そのまま床に押し倒し、濃厚な口づけを贈る鍾離。
 舌を絡ませてくるウェンティの手は鍾離の首に回され、彼はそのまま恋人に導かれるまま両足を左右に開いてみせた。
「んんんっ」
 口づけでも遮れなかった嬌声の残骸。鍾離はその声ですら愛らしくて堪らないと自身の猛った欲を更に恋人に押し付けた。
 何度抱いても飽きることのない存在に鍾離は夢中で腰を振り、ウェンティの身体ごと何度も何度も揺さぶった。
「モラクスっ、あっ、あん、すきっ、だいすきっ、だいしゅきぃ!」
「―――、俺も、だっ! 愛してる! お前だけを愛してるっ!!」
 夢中で想いを伝え合い愛し合う二人。
 鍾離は快楽に恍惚の表情を浮かべるウェンティを見下ろし、その幸せそうな笑い顔がどうしようもないほど愛おしいと顔を歪めた。
「くっ、―――、お前は、俺をどうしたいんだっ!?」
「もりゃくしゅ、はやくっ、はやくちょーだい、もらくすのあかちゃん、はやくぅ」
「! 雌に成り下がってなんて様だっ!!」
 自分が何を言っているか分かっているのかと眉間に皺を刻む鍾離。ウェンティはその言葉も理解できていないのだろう。脈略なく大好きだとしがみついてくる。
「―――っ、しっかり受け止めろっ、馬鹿者がっ!!」
「あっ、あぁぁぁ……、もりゃく、しゅ……、すご、おく、おく、しゅごぃ……」
 きゅうっと胎が収縮するのは、子種を奥に取り込むためか。
 本当に雌のようだと鍾離は自身の愛を恋人に塗り込むように腰を柔く揺らした。
(孕ませることなど、するものか。お前は俺だけを見ていればいいんだ、バルバトス)
 鍾離は、ウェンティが自身の器を大切にしている事を知っている。その理由には嫉妬を覚えるぐらい、ウェンティの想いを熟知していた。
 だからこそ、ウェンティがその器を変えることは無いことを理解している。そしてまた、ウェンティは雄と雌でなければ子が成せないと思っていることも知っていた。
 人外である二人にとって、人の理などあって無いようなもの。事魔神に関しては、雌雄など関係なしに番を孕ませることができるのだから。
 しかし、ウェンティはそれを知らない。元が風の元素精霊であるが故か、繁殖という概念が薄いからだ。
 『人』の理が自分達にも当て嵌まると思っているウェンティ。それは鍾離を安堵させた。
 鍾離は、ウェンティと子を成す気など全くないからだ。それはウェンティを愛していないからではなく、愛し過ぎているから。
 



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2024-01-10 公開



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