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「あまり見つめてくれるな。お前が目の前にいて行儀よくし続けるのは無理だと分かっているだろう?」
そう窘める様な言葉を優しい音で鍾離が紡いだのは、ウェンティの唇を奪った後の事だった。
触れるだけとはいえ、突然口付けられたウェンティは目を瞬かせて驚いた表情を見せるのだが、直ぐにふわっと綻ぶ花のような笑みを浮かべ、「順番が逆じゃない?」と恋人に抱きついた。
「仕方ないだろう? ただでさえ堪えがたい衝動を抑えているのに目の前で番が誘惑してくるんだ。むしろ口づけ一つで我慢できたことを褒めてもらいたいぐらいだ」
「ふふ。だよね。ごめんね、モラクス」
「それだけか?」
「発情期に入ったら、我慢しなくていいよ……」
誘う言葉を口にする自分が恥ずかしいのか、瞳を伏せて俯くウェンティ。
その姿も愛らしいと鍾離はその首筋に唇を寄せると、じゅっと強く吸い上げ自分の痕をもう一つ増やしてやった。くぐもった甘い声は浴室に反響し、耳から惑わしてくれるから困ったものだ。
「子種が空になるまで注いでやるから覚悟しておけ」
「怖いなぁ。ボク、正気でいられるかな?」
「正気であろうがなかろうが、俺を愛している事に変わりはないだろう?」
「それはね」
「なら、問題ない。お前の役目は、俺を惑わせ子種を全て此処に納めればいいだけだ。……何も考えず、俺に愛されていればいい」
先の痕の隣に、別の痕を残す鍾離。
胎を優しく撫でる男の手に、ウェンティは甘く上擦った声と笑い声を響かせ「赤ちゃん、欲しくないくせに」と揶揄い口調で投げかけてきた。
一瞬、狂愛を見抜かれたかと焦る鍾離。しかしそれを表に出さないところは流石だ。平静を装い、「それはお前だろう?」と笑い声を返した。
「お前が一時でも雌になってくれるのならば、俺はやぶさかじゃないぞ?」
そんな大嘘をさも本心のように紡ぐ鍾離。何を言われようともウェンティが姿を変える気が無いことを知っているからこその言える嘘だった。
すると次の瞬間、ぽかっと何かが頭に当たった。何かと恋人の首筋から顔を挙げれば、鍾離が目にしたのは苦笑いを浮かべるウェンティの顔だった。
「バルバトス?」
恋人の手が髪を撫でている。まるで其処を――叩いた箇所を癒すように。先程何かが当たったと思ったのは、どうやらウェンティの拳だったようだ。
戯れのような拳に痛みなど全く感じていないが、何故殴られたのかと疑問を抱く鍾離。
尋ねるように名を呼べば、ウェンティは「嘘吐き」と苦笑いを濃くした。
「? 何のことだ?」
「もう何年君と一緒に居ると思ってるの? すぐばれる嘘なんて吐かずにはっきり言ってよ。『俺だけを見てろ』って、いつもみたいに」
髪を撫でる手を止め頬を両手で包み込んでくるウェンティは額を小突き合わせ、囁きを落とす。
「魔神の繁殖に性別なんて関係ないんでしょ?」
それは鍾離がひた隠しにしてきた、秘密そのもの。
何故ウェンティが知っているのかと驚きのあまり取り繕うことができず表情に出せば、愛しげに笑うウェンティはチュッと唇を重ねてきた。