「岩の魔神が本当に君を好いているのなら、話し合えば理解してくれる」
「つまり理解してもらえなかったらモラクスはボクの事好きじゃないってことだよね?!」
「そうは言っていない」
「言ったじゃない! モラクスがボクの事本当に好きなら番に――雌にならなくていいって言うって!」
「我は話し合うことで君の想いと考えを理解してくれると言ったんだ」
「だから! だから、つまり番にならなくていいって言うってことでしょ!?」
もし話し合って猶番になることを求められたら、つまりはボクの事『本当に好き』ってわけじゃないってことだよね?
雌にはなりたくないけど、別れるのも嫌だ。
我侭かもしれないけど、どうしても譲れないことだからボクはどうしていいか分からないと悲壮感を漂わせた。
すると、髪がふわっと舞い上がる。どうやらトワリンが溜め息を吐いたみたいだ。
ボクは鼻を啜りながら恨めしいと言わんばかりにトワリンを睨む。
「そんな目で見るな。……我は岩の魔神の肩を持つ気は無いんだ」
「嘘吐き! ずっとモラクスの味方してるじゃない!!」
「それは君が岩の魔神を好いているせいだ。我の意思じゃない」
トワリンは、ボクがモラクスを嫌いになれば喜んでモラクスの悪口を言ってやるなんて言ってくる。
つまり、それはボクに寄り添った言葉であって、トワリンの本心ではないってことだよね?
ボクがモラクスを好きだからモラクスの肩を持って、ボクがモラクスを嫌いだと言ったら、モラクスの悪口に付き合ってくれるって言ってるってことだよね?
それに気付いたボクは「酷い!」とトワリンの前足をポカポカと叩いて非難した。
ボクはトワリンの意見を聞きたいだけだ。
ボクを慰めるために寄り添う言葉が欲しいわけじゃない。
そう言って責めていれば、やり取りに疲れたと頭を下げて眠るような体勢に入るトワリン。
勿論ボクはそれに対しても非難の声をあげるわけだけど、今のボクは全然冷静じゃないから話しても無駄だと大きな瞳を閉じてしまった。
「トワリン!!」
「君のために助言したがそれを嘘と決めつけられた我の気持ちが理解できるようになったら続きを聞く」
「うっ……、うぅ……ごめんよ……トワリン、お願いだから、話を聞いておくれよ……」
「……まったく。君は岩の魔神のことになると、とたんに冷静じゃなくなるな」
縋りつくボクに片目をぱちりと開けてくれるトワリンは優しい。
ボクは言い返せない言葉に反省を示し、項垂れた。
大好きだから、本当に本当にモラクスが大好きだから、冷静でなんていられない。
どんなに平静を装おうとしても、いつものように振舞えないから『恋』とは厄介なものだとボクはボクに『番』になるよう求めてきたモラクスの姿を思い出し、涙ぐんでしまう。