TREMOLO [ANNEX]

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二五〇〇年越しの夜

10



「お前の種は今後一切芽吹くことは無いのだからな」
 余所でコレを使うことは勿論、己で慰めることも許さない。
 そう言い放つ鍾離に、ウェンティはその言葉を受け入れるように小さく頷いた。
 いじらしいその姿は雄の本能を刺激する。鍾離は己の上着に手を掛け、それを脱ぎ捨て放り投げた。
 普段の彼ならきちんと吊るすだろうに、随分な扱いだ。だが、それほどまでに愛し合うことに夢中になっているのだと思うと、ウェンティも堪らない気持ちになってしまう。
 インナーのボタンを外す彼を見つめるウェンティは、露わになる逞しい肉体に見惚れてしまう。
 均等に筋肉がついて引き締まった体躯はまさに芸術品と言っても過言じゃない。そして今からこの身体に抱かれるのだと思うと、また腹の奥に疼きを感じた。
 岩の文様が走る体躯を露わにした鍾離は、待たせたなと笑いウェンティの両膝に手を添えた。
 そのまま左右に押されれば、既に露わになっていた恥部にはもう影も落ちない。
 注がれる視線に恥ずかしいと小さな声を上げるウェンティ。鍾離はその声に視線を向けてくるも妖艶な笑みを見せるだけだった。
 ウェンティの両足の間に身体を割り込ませた鍾離は、恋人の片足を持ち上げ、己の肩にかけた。
 体格差のせいで浮いた腰にウェンティは不安を覚えるも、相手が他ならぬ愛しい彼だから身を任せることができる。
 美しい双曲を描く尻を撫でる鍾離の手は大きく、簡単にウェンティのそれを鷲掴む。
 柔く揉みしだかれる尻に、くすぐったさを覚えたのは最初だけ。直ぐにまた覚えのない感覚がせり上がって来て、身をくねらせくぐもった声を発するウェンティ。
 鍾離は快楽に身悶える恋人の姿に何度も喉を鳴らした。彼の股座には限界を超えた欲が解放を待ちわびている。痛みを訴える程膨張した男の象徴に、つい気持ちが急いてしまうのは仕方のないことだろう。
 尻を揉んでいた手はしだいに位置を変え、己の欲を埋め込む孔に近付いてゆく。
 気が付けば固く閉じた蕾を押し揉む指にウェンティも流石に不安を覚えたのか、頼りない眼差しを鍾離に向けてしまっていた。
「……怖いか?」
「ちょっと……。でも、モラクスだから、平気だよ……?」
 その言葉が虚勢だとは鍾離にも分かっている。分かっているが、『止めておこう』とはどうしても言えなかった。
 早く身も心も自分のモノにしたい。腹の底で暴れる本能が早く馳走を寄こせと喚いているような気さえする。
 早く、一刻も早く、この愛おしい存在を―――。
「モラクス」
「! なんだ?」
 思考が欲に染まりかけていたが、耳に届く声に救われた。
 苦しい程の情欲を抑え込み笑みを浮かべる鍾離だが、その表情は引き攣っている。自覚があるぐらいだ、ウェンティにはきっと直ぐ見抜かれている事だろう。
 ウェンティは鍾離の肩に乗せていた膝を折り、自分の方へと恋人を引き寄せた。大した力ではなかったが、ウェンティを求める男にはそれに抗う術はない。
 僅かだが縮まる距離。苦笑交じりに視線を贈れば、恥じらいながらも「はやく」と急かす恋人の姿が目に入った。



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2024-02-22 公開



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