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「自分で自分を飾り立てるな。安っぽく思えるぞ」
「酷いなぁ。でも、モンドでは本当にそう言われてるんだからね? それに他の国でも―――」
「知っている。そもそも、お前の詩が何よりも美しいことは俺が一番知っているからな」
「わ、わぁ! 驚いた。随分ストレートに褒めてくれるんだね? お世辞でも嬉しいよ」
「お前相手に世辞を言って何になる。本心に決まっているだろうが」
昔から――それこそ、出会った頃からそう思っていた。美しい存在が美しい詩を唄う姿はこの世の奇跡と呼べるだろう。と。
言いながら過去を思い出しているだろうその姿に、ウェンティは何を言われたか理解できず固まった。
だが、遅れて真っ赤になった顔に理解するのに時間を要していただけだと思われる。
「ど、どうしちゃったのさ、本当に。君らしくないよ?」
「『俺らしい』とは?」
「例えば! えっと、例えば、今みたいなときは、そうだな。『唄は極上でも、それ以外が全てを台無しにしている』とか!?」
「待て。今のは俺の真似をしたのか?」
「そうだよ。似てたでしょ?」
眉間に皺を作って不機嫌面で鍾離の口真似をして見せたウェンティだが、本人にはすこぶる不評のようだ。
案外うまく真似れたと思っていたのだが、認識の齟齬とは実に面白い。
納得できないと言わんばかりの友人の面持ちに笑うウェンティは、先程の動揺から気持ちを立て直すことに成功したようだ。
だが、またすぐにそれを乱される事になろうとは思わなかった。
「そんなに怒らないでよ。ボクにはそう見えるってだけの話なんだからさ」
「怒っているわけではなく、自身の振る舞いを反省しているだけだ」
「えぇ? 反省って、そんな必要ないでしょ?」
「愛する者にそんな誤解をされていると知って反省しないわけにはいかないだろう」
過去の振る舞いを思い返せば、そう思われても仕方ないと理解できるからそれがまた……。
そう言いながら難しい顔をする鍾離。だが、ウェンティはまたぽかんと間抜け面を晒してしまう。
「なんだその顔は。俺とて反省ぐらいするぞ」
「いや、そこじゃなくて……、えっと、『愛する者』って、今聞こえた気がして……」
「それがどうした?」
「だって、話の流れ的に、それ、ボクの事みたいに聞こえるんだけど……」
口にした後、しまったと思うウェンティ。きっと鍾離は『何をバカなことを』と笑うに決まっている。と。
ウェンティが言わなければ良かったと後悔していれば返って来たのは想像していた嘲笑などではなくて……。
「お前以外に誰の事だと言うんだ? 恋人を愛おしいと思う事は普通の事だろう?」
不思議そうな声色に、翡翠が大きく見開かれる。そして鍾離の言葉を理解した次の瞬間、ウェンティは驚きのあまり身を乗り出して彼に詰め寄っていた。
「えぇ!? ぼ、ボク達、恋人だったの!? とっくに別れてなかった!?」
「待て、どういう意味だ」
理解が追い付かないと発した言葉に精悍な顔が不快に歪む。
明らかに機嫌を損ねた表情と声色に今度こそ失言したと息を呑むウェンティは、男の威圧感にすごすごと前に乗り出していた上体を元に戻し、俯いた。