TREMOLO [ANNEX]

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七天神像と感覚が繋げられる岩神と風神の話

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「なんでそうなるのさ?」
「何故分からない?」
「むしろなんで分かると思っているのか疑問なんだけど」
「それでも俺は七天神像に『祈っている』からに決まっているだろうが」
「え?」
「知らないわけじゃないだろう? お前も七天神像と繋がることが出来るんだからな」
 しらばくれる気か?
 そう問いただせば、明らかに狼狽えて見せるウェンティ。その目は泳ぎ、鍾離の言葉を『嘘』だと言ってきた。まるで自分に言い聞かせているように。
 真実を話して嘘吐き呼ばわりされれば、誰だって気分を害すだろう。
 鍾離も勿論ムッとした。だがそれ以上に、目の前の恋人の頬が高揚したことに驚いた。
「……まさか、本当に知らなかったのか?」
「し、知らないよ! ボクは君みたいに簡単に七天神像と繋がる事はまだ出来ないんだからっ!!」
「何?」
 告げられた事実に更に驚かされる。
 自分と同じように望む時に七天神像と繋がることが出来ると思っていた相手から『それが出来ない』と言われれば、まぁ当然だろう。
 鍾離が珍しく目を丸くして驚いていれば、赤い顔をして拗ねていたウェンティがちらりと此方に視線を寄越してきた。
「……まだ、『祈ってる』って、本当?」
 問いかけてくる眼差しに宿るのは確かな期待で、鍾離は結局惚れた方が弱者だということかと内心笑った。
 翡翠に頷きを返し、恋人の自身の『訪問』を伝える儀式のようなものだったと素直に教えてやった。
「毎回お前が飛んでくるかと期待していたが、なるほど。一度も現れなかったのは、そういう理由か」
「うっ……、ご、ごめん……」
「別に構わない。……だが、次からは姿を現すと期待はするぞ?」
「だから、ボクは君みたいに出来ないんだってば!」
 成功率はまだ低いと愚痴ているウェンティ。
 鍾離は、ならばコツを教えると言ってその頬を撫でた。
 甘い雰囲気を出し過ぎたと反省するのは、ウェンティが言葉を詰まらせたから。
 不慣れな姿を一段と愛おしいと思うのは、自分が彼の『初めて』だと告げられたからだ。
「お前は覚えが悪いから、教えるのは大変そうだが」
「! そんなことないし! 良い『先生』に教わったら、直ぐだし!」
 甘さを隠してやれば、嬉しそうに悪態を吐いてくる。
 この姿も愛おしいとは、愛とは難儀なものだ。
 鍾離は想いを隠して笑い、恋人に『指南』するために場所を移そうと隣国に向かうのだった。



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2024-08-27 公開



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