TREMOLO [ANNEX]

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七天神像と感覚が繋がっている岩神の話



 上空は雲一つない晴天だが、空とパイモンの心はどんよりと曇っていて、取り巻く空気も何処か重苦しい。
 パイモンは大きなため息を吐き、空と同じ心配を口にした。
「吟遊野郎、もうモラクスの神像には近づかないかもな……。うぅ……なぁ旅人、これってオイラ達のせいなのかな?」
「そんなことない、って言いたいけど、残念ながら。……でももし俺達がこうやって落ち込んでるって知ったらそれこそ物凄く気にするだろうから、それを考えて落ち込むことはしちゃダメだろうね」
「そ、そーだよな…………、よし、うん。オイラ、もうウジウジしないぞ!」
「うん。俺も」
 互いに、もう気にしないと言い合う二人。
 勿論、それが容易でないことは分かっていたが、それでも、健気な友人のことを想えば、努力しよう頷き合った。
「とりあえず、俺達はいつも通り旅を続けよう。この後は岩神モラクスの七天神像に祈りを捧げて、その後は璃月港で美味しい物を食べて―――」
「旅人? どうしたんだ?」
 不自然に途切れた会話に、パイモンは心配を顔に出す。
 だが、空の視線の先を確認するように其方に目をやれば、空の絶句も納得がいった。
「……鍾離?」
 自分達の進行方向には、璃月の軍隊・千岩軍の駐屯地がある。其処には普段から多くの兵士の姿が確認できるのだが、何故か今日はその中に彼の姿があったのだ。
 千岩軍と何やら言葉を交わしている風の鍾離の姿に、きっと聡明な男性に千岩軍が知恵を享受されているのだろう事は分かった。
 分かったが、正直何故今なんだと思わなくない。
「どうする……? 声、かけるか?」
「きっと鍾離先生はこっちに気付いてるよ」
「えぇ!? 本当か??」
「うん。こっちは見てないけど、たぶん俺達は先生の間合いに入ってると思う」
 凡人を自称する元岩神モラクス。武神とも称えられていた彼の警戒網に自分達は既にかかっているに違いない。
 そう現状を分析する空に、パイモンは気付かなかったとやり過ごすことはもう無理なのかと肩を落とした。
 思わぬところで知ってしまったウェンティの恋心をまだ上手く処理できていないパイモンは、自分が失言しないか心配そうだった。
 相棒が嘘を吐けない性格だと知っている空は、確かにそれは心配だと思ったり。
 うっかりウェンティの恋心を暴露しようものなら、流石にフォローの仕様がない。
「旅人!!」
「何?」
「もしオイラが何か失言しそうになったら、殴ってでも止めてくれ!」
「えぇ……。それはちょっと……」
「頼む!!」
 頼み込んでくるパイモンは、これ以上鍾離への気持ちをウェンティ自身がないがしろにして欲しくないと訴えてきた。
 そんなことを言われたら、不本意ながらも殴ってでも止めると同意せざるを得ないではないか。
 空は苦笑を濃くし、大声で遮るでもいいかな? と譲歩を見せた。



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2024-04-26 公開



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